【インタビュー】Job master VOL.17 農家・ねぎ販売業 荒木 俊彦(38)

さまざまな職業で活躍する人に迫るJob master。第17回目は、埼玉県深谷市でねぎを育てる農家、荒木さん。株式会社NOKAを起ち上げ、これからの農家としての在り方を追求する姿に迫ります。

―お仕事の内容を教えてください。
実家が農家で、両親と一緒に野菜を育てて出荷をしています。主には深谷市のなかでも新戒地域で作られる“深谷新戒ねぎ”の栽培・出荷ですね。その他にもきゅうりやキャベツ、カリフラワーなどを栽培して出荷しています。ねぎの収穫は主に12月~3月なのですが、収穫に至るまでの手入れや、ねぎを太く大きく成長させるための“土寄せ”という作業、他の野菜の収穫・出荷などが常にあるので、基本的には1年中仕事が絶えないですね。あとは深谷新戒ねぎを広めていくことも僕らの役割だと思っているので、品評会やイベントに出展して、深谷新戒ねぎのおいしさを広める活動も行っています。

―株式会社NOKA起ち上げまでの経緯は?
25歳の時に当時の仕事の関係で中国に行って、2歳年上の日本人とすごく仲良くなったんですけど、その人と”人生経験を豊富にしたい”という話になって、中国でコーヒー屋を始めたんです。そこでいろいろなことを学んでいくうちに経営の面白さを知って。だったら自分の家の農家を経営しようと思い、31歳で帰国して農家を継ぎました。そこから仕事をするうちに、農家が全然儲かっていないことに気づいて。単純にコストに対しての販売価格が低すぎるんですよね。そこから農家の若い人たちに農家の現状のことを伝えた時、1人がすごく共感してくれて、その人と一緒に株式会社NOKAを起ち上げたんです。そこから僕たちは卸先であるスーパーと、直接やり取りをするようにしました。そうしたら、僕らが売りたい値段と、スーパーが販売したい値段にそんなに差がないことに気づいて。仲買などを介さずに直接スーパーとやり取りができれば、農家としての売り上げも上がるので、そういう形で農家が報われていけばいいなと思っています。

―農家としてやりがいを感じることは?
やっぱり「おいしい」って言ってもらえることが一番のやりがいですね。卸先のスーパーから「すごく売れています」って言ってもらったり「去年はたくさん売れたので、今年は倍の量にしましょう」という話をいただいたりすると、“よかったな”と思います。あとは卸先のラーメン屋さんに「荒木さんのところのねぎは質がいいね」って言ってもらったりするのもすごく嬉しいですね。

―農家として苦労することは?
 正直、休みという休みはなかなか取れないですね。だからそういう部分でも株式会社という法人にして、人を雇ってローテーションを組んでしっかりと休みが取れるような環境を作っていきたいんです。あとはどうしても天気に左右される職業という点ですかね。その年の天候によって、100万円単位で売り上げが変わってしまうんですよ。だからそういったことも避けるために、法人として決まった価格でしっかりと取り引きをしていきたいと思っています。

―全国の高校生に伝えたいことは?
僕が高校生の時は本当に何も考えずに生活していました。今の高校生もやりたいことがない人って結構多いと思うんですけど、そういう人たちは海外を視野に入れて欲しいなと思います。日本とその国の違いを見つけるとビジネスチャンスが見えてきたりするんですよね。僕自身が中国に行ってやりたいことを見つけたし、人としても考え方や物の見方、人との接し方も変わったので、やりたいことがない人は、海外に目を向けて自分の可能性を広げていけばいいんじゃないかと思います。

お仕事言葉辞典>>>農家編

【土寄せ】つちよせ
生育中の植物の根元に土をかけること。ねぎは土寄せをすることで、光を遮断し白い部分が長く育つ。土寄せに適した新戒地域では盛った土が安定するため、ねぎをさらに太く大きく成長させることができる。



お仕事道具見せてください!

畑で使用する地下足袋
畑作業の必需品・地下足袋。靴ではなく地下足袋を使用することによって、足に力が入りやすいため、現在でも数多くの農家さんが愛用しているそうです。


INFORMATION
荒木さんが社長を務める会社

[Facebook]https://www.facebook.com/NOKA.shinkai/