さまざまな国の文化を紹介し、海外や留学に関する情報を提供する「YTJP留学ナビ」。第6回は、中国とインドの間にある国・ネパール。世界一高い山・エベレストがある、ヒマラヤ山脈を国境に持つことでも有名です。10月から11月は天気も良く暖かいため観光客も多く訪れるそう。地域によって歴史的な寺院や豊かな自然が多く、さまざまな美しい景色を楽しむことができるネパールの魅力について紹介します。
vol.6 ネパール
| 首都 | カトマンズ |
| 面積 | 約14万7,000㎢ |
| 人口 | 約2,969万人(2023年時点) |
| 公用語 | ネパール語 |
| 時差 | 3時間15分 |
| 通貨 | ネパール・ルピー(1ネパール・ルピー=1.08円〈2025年10月31日現在〉) |
| 成人年齢 | 18歳 |
多くの神様が住む国“ネパール”
世界一高い山・エベレストがあることでも有名なネパール。インドに接する南部と、ヒマラヤ山脈に接する中国との国境地帯では高度差が8,800m弱あり、地域によって気候が異なります。その中でも首都・カトマンズは標高約1,300mと高い場所に位置していますが、気温は比較的高く、夏は平均気温が28℃程度となるそうです。カトマンズには、歴史的な王宮や寺院が建ち並ぶダルバール広場をはじめ多くの寺院があり、またヒンドゥー教の最高神のひとり・シヴァの化身であるカーラ・バイラブ像や、ハヌマーン像など、街の至る所に神様が祀られています。その様子から「神々の住む街」や「人より神様の方が多い国」と紹介されることもあるそうです。
ネパールの教育制度って?
教育期間は1年生〜12年生(5歳〜17歳)までの12年間。そのうち、1年生〜8年生までが義務教育期間と定められており、無償で学ぶことができます。学校は4月中旬から翌年の3月中旬までで、日本より1年早い満5歳から義務教育が始まります。8年生の学期末に実施される基礎教育試験に合格すると中等教育学校に進学でき、技術職業教育機関に進学する場合は基礎教育試験に加えて各学校の入学試験に合格する必要があります。
JAPAN▶︎▶︎▶︎Nepalに留学した先輩にインタビュー
✈️カトマンズに留学✈️
川村美湖さん(大学1年生)
留学期間:2024年7月〜2024年8月(約3週間)
●ネパールに留学した理由を教えてください。
コロナ禍に初めて「生理の貧困」という言葉を知り、気になって調べていくうちに、海外でも同じような問題が起こっていることを知りました。特にネパールでは古くから“血はけがれ”として捉える考え方があり、その考え方が生理の貧困につながっていることを知ったんです。もともと留学に興味があったことと、留学をするなら人とは違うことに挑戦したいという思いもあって。私の周りで留学に行った友達は、アメリカやニュージーランドなど英語圏が多かったので、私はネパールでこのテーマについて学びたいと思うようになり、ネパールに留学することを決めました。
●テーマについて探求する中で驚いたことなどはありますか?
ネパールの人にとって宗教関連施設はとても大切な場所なので、生理中の女性は施設に入れないという暗黙のルールがありました。実際に、施設に訪れる前日に生理用品を購入するためにスタッフに相談していた友達が施設内に入れないということもあって。現地のスタッフの方に聞いた話では、農村の田舎の方では、生理期間になると女性は“生理小屋”という部屋で過ごさなければいけないルールがある村があったり、生理中の人を見ると自分の服を着替えたりする人もいるそうで……。年齢の高い人だと特に古くからの考え方を大切にしている人が多く、田舎の方はカトマンズよりも生理の貧困が深刻なことを学びました。
●テーマについて学んだことを教えてください。
生理について、現地スタッフの方の家でのお話を聞くことができました。スタッフのお父さんは生理中の方を見ると着替えたり、シャワーを浴びたりしているそうですが、スタッフ自身はその風習がよくないものだと感じているそうで。お父さんのことを尊敬しつつも、将来的にはその風習をなくしていきたいと話していました。ネパール内でも少しずつ生理の認識が変わっていっているのかなと思いました。
●留学中はどのような生活をしていたのですか?
平日は現地にある私立のイングリッシュスクールでボランティアをしていました。その学校は、保育園と小学校、中学校、高校が隣接している小さな学校で、最初と最後の数日間は壁のペンキ塗りをして、他の日は子どもたちに折り紙や日本語を教えてあげたりしました。休日は、スタッフさんがポカラというリゾート地に旅行に連れて行ってくれました。そこでは、一緒に留学をしていた子たちと、寺院や歴史的な建造物を見て周りました。
●留学中に、特に思い出に残っていることを教えてください。
1週間くらいで消えるボディアート・ヘナタトゥーに挑戦しました。ヘナタトゥーの職人の方が宿泊施設に来てくれて、私は大きな花のデザインをオーダーしました。日本だと派手なものになかなか挑戦する機会がないので、ネパールの華やかなヘナタトゥーを体験できてよかったです。 留学中に印象に残っている出来事を教えてください。 ボランティア活動で学校の設備を整えることに携わりました。私は学校の教室の壁のペンキ塗りをしたのですが、その最後には教室に電球と扇風機が設置され、電気が通ったりと、設備が整っていく様子を見ることができたのが印象に残っています。私がペンキ塗りをしたのは私立の学校だったのですが、私立の学校でさえ天井がなかったりペンキ塗りが必要な状態で、最初は電球や扇風機がなかったことにも驚きました。私たちがペンキを塗ったりするだけでは、直接的な貧困の解決にはなりません。ただ、壁が明るい色になり電気が通ることで、子どもたちが学ぶ場所が良くなることは、決して意味のないことではないと気づくことができたのでよかったです。
留学を通して、いろいろな人に出会えたことがよかったです。まずトビタテ!では、同年代の人たちがそれぞれのテーマでいろいろな国に留学しており、事前研修・事後研修でたくさんの刺激を受けました。また現地で一緒に活動していた9人のうち7人が日本人で、その子たちとは今でも連絡を取り合って仲良くしています。もちろん現地のネパールの人とも連絡を取り、ネパールの様子を教えてもらっています。留学に行かなかったら出会わなかった人たちがたくさんいるので、そういう人たちに出会えたのは自分にとってプラスの経験だったなと思います。
●留学を通して成長したところを教えてください。
この留学が私にとって初めての海外で、ネパールで過ごした時間が自分の自信につながりました。また、自分が普段どれだけ恵まれた環境にいるのかということに気付くことができました。その中でも現地のスタッフさんに言われた「日本人はいろいろなことにチャレンジできる環境にいるのになんでやらないのか」という言葉が印象に残っていて。ネパールでは学校に通えない人がたくさんいて、そんな中でも自分で努力して勉強している人が多くいるそうです。留学を通して自分が恵まれた環境にいると気付けたからこそ、帰国後はいろいろな大会に出場してみたり、SNSで発信してみたり、やってみたいことに積極的に挑戦するようになりました。
●ネパールの魅力を教えてください。
ネパールは“アジア最貧国”と呼ばれるくらい経済的に貧しい国です。首都カトマンズの私立学校でも環境が整っておらず、現地では貧困を実感することがありました。その一方で、留学中にはネパールの人の心の暖かさや、心の豊かな部分に触れる機会がたくさんあって。人の心や自然といった、経済的な指標では測れない部分がとても豊かな国だなと感じました。
●留学に興味のある高校生にメッセージをお願いします。
海外に興味があるなら、テーマや具体的な目的がなくても行ってみてほしいなと思います。私自身ネパールでいろいろな経験をしてたくさんのことを学びました。海外で生活するという経験は、自分と向き合うことにもつながると思うので、ぜひ挑戦してみてほしいです。
※インタビュー対象者は、トビタテ!留学JAPANの派遣留学生です。








