【インタビュー】土木技術者 畑典雅「新しい道路を作るとそれが地図に残り 自分が生きているうちにはなくならない」

第107回のWorker’s fileは、愛知県名古屋市にある建設会社・中部土木株式会社の畑典雅さん。道路や商業施設など、私たちが当たり前のように利用している場所の工事を多数請け負い、地域の人々の生活や安全を守っている土木技術者の仕事に迫ります。

【インタビュー】土木技術者 畑典雅「新しい道路を作るとそれが地図に残り 自分が生きているうちにはなくならない」

土木技術者 畑典雅
愛知県出身。小学生の時に目にした都市高速道路の開通をきっかけに土木業に興味を持ち、工業高校卒業後、中部土木株式会社に入社。工事部で担当技術者、現場代理人、監理技術者、一般社団法人 先端建設技術センターへの出向後、営業部を経て、2021年に中部土木株式会社東京支店長に就任。現在は中部土木株式会社 経営企画室長、株式会社湘南推進工業 代表取締役を務めている。

 

新しい道路を作るとそれが地図に残り 自分が生きているうちにはなくならない

 

💬仕事内容を教えてください。

創業64年の中部土木株式会社で経営企画の仕事をしています。中部土木は、道路や河川、下水道の工事、高速道路の新設工事などの、舗装と土木をやっている会社です。僕自身は経営企画として、100年企業に向かっていくための計画を戦略的に考えたりしています。地域課題や建設業界の課題など一つの会社だけで解決できないものは、同業の企業と集まって意見交換をしたりもします。あとは社内的なことで言うと、経営者と現場をつなぐ橋渡しのようなこともしていて。現場にも足を運んでその時の状況や課題を確認したりもしていますね。

💬現在の仕事に至るまでの経緯を教えてください。

小学6年生の時、住んでいる場所の近くに都市高速道路が開通して、それを見たことでものづくりに興味を持ったのが最初のきっかけですね。高校は工業高校に入って建築や土木のことを専門的に学びました。卒業後は、自分が作ったものを地元のみんなに使ってもらいたいという思いで、地元の企業である中部土木に入社しました。そこからは土木技術者の卵として現場に出て、中部土木が請け負っている工事現場の一員としてまずは図面通りに安全に仕事をして。その後は完成したものがしっかりと水準を満たしているかというのを確認するマネジメントをしたり、所長になってからは図面では詳細が解らないものや図面通りできない部分の詳細の調整、工事の発注者や地元の人、協力会社との調整をしたりということを経験しました。その後は東京支店長などを経て、昨年経営企画室長となりました。

💬仕事のやりがいを教えてください。

地域の発展や安全、未来の暮らしに関わっていく仕事という点はやりがいの一つです。僕らの仕事は“現地一品生産”なので、同じところで同じことをやるということがなく、だからこそいろいろな形で社会貢献ができます。その積み重ねがやりがいにつながっていくのかなと思います。新しい道路を作るとそれが地図に残り、きっと自分が生きているうちにはなくならないので、そういう点でもやりがいのある仕事だと思います。

💬ご自身が関わったものが初めて完成した時はいかがでしたか?

最初の頃はよくわからず、わからないまま工事が終わって完成したという感じでした(笑)。毎日あれやって、これやってと作業をこなすのに一生懸命で。工事が始まってすぐはやらないといけないことが当然いっぱいあるんですけど、工事が進むにつれてやらないといけないことが少なくなっていくじゃないですか。だから明日からやることがなくなったという段階になったら完成だったなという感じでしたね(笑)。

💬工期が決まっている中で、進行遅れなどのトラブルが起こった際はどのように対応するのですか?

使う材料を変えたり、作り方を変えたり。例えば、速く固まるコンクリートを使ったりします。もちろんそこにはコストの変化はありますが、工期とコストではやっぱり工期の方が大事なのでそういった工夫をしています。あとは人数やグループを増やしたりして工事のスピードを早めたりすることも検討します。ただ人数を増やして早く進めばいいのですが、人数を増やしたことで逆に足枷になってしまったりもするので、その調整をするのが現場の監理技術者といわれる人になります。僕が監理技術者をやっていた時は、それまでの下積みの経験を活かして「こうすれば早くできる」とか、「ここは時間がかかるな」ということを考えて現場に活かしていましたね。また一人ではできない仕事ですので、会社の仲間や会社との意見交換も大切なコミュニケーションの一つです。

💬地元企業ならではの良さを教えてください。

やっぱり身近な人のためになるというところですかね。最近は災害なども多いと思いますが、その時に地域の守り手として最初に動くのが地元の建設業なんです。例えば雪が降って積もった時に、道路が雪かきされていて歩きやすくなっていたりしますよね。それって地元の建設業が動いているんです。インフラを管理している方々と共に“地域を守る”という点は地元企業ならではだと思います。

💬中部土木では毎年新卒採用は行われているのですか?

やっていますが苦戦はしていますね。少子化というのもあるのですが、単純に担い手不足です。やっぱり建設業に対してのイメージって、“危ない”とか“汚い”といったイメージがまだ残っていると思うんですよ。だけど今の現場は設備などもすごく綺麗になっていて働きやすくなっています。他にも建設業は男性技術者ばかりのイメージもあると思いますが、もちろん女性技術者も働いています。建設業の担い手不足を解消するためにも、ラジオ放送で会社をPRしたりもしています。あとは学生に授業の一環で現場を見にきてもらうとか。学校ではどうしても机上で学ぶことが多いのでイメージがしづらかったりすると思うのですが、実際に現場を見た時に“学校で勉強したことはこういうことだったのか”と結びつく楽しさがあったりすると思います。もちろん、建設業は工業高校に行っていないと入れない業界ではないので、普通科の人も大歓迎です。

💬建設業にはどんな人が向いていますか?

まずはものづくりがしたい人ですかね。あとは座っていたくない人や同じところで働きたくない人(笑)。建設業はいろいろなところにいろいろな形で関わっていくので、そういう点でも楽しいと思います。あとは歴史好きの人とか。江戸時代の建物や道ってどうだったんだろうみたいなことに興味があったり、街の変化に興味がある人は楽しいと思います。

 

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安全靴・ヘルメット
実際に作業を行わない打ち合わせなどの用事でも、現場に入る時にはヘルメットと安全靴の着用は必須。写真の安全靴は畑さんの私物。最近は有名スニーカーブランドからもオシャレな安全靴が販売されているそうです。

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土木技術者編
【PM】 ぴーえむ

プロジェクトマネジメントの略。限られた時間・予算・人材の中で、明確なゴールに向かってプロジェクトを計画・実行・管理すること。複雑な業務をチームで進めるときに欠かせない考え方。

INFORMATION

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中部土木株式会社:http://www.chubudoboku.co.jp/