さまざまな国の文化を紹介し、海外や留学に関する情報を提供する「YTJP留学ナビ」。第5回は、世界3位の面積を誇るアメリカ合衆国。“自由の女神”でもお馴染みアメリカ東部にあるニューヨークと、ハリウッドなどで有名なアメリカ西部のロサンゼルスは、約4,000km離れており、飛行機で6時間の距離。語学をはじめ、文化やIT、芸術などさまざまな分野の最先端技術を学びに、世界中から留学生が訪れる国・アメリカの魅力を紹介します。
vol.3 アメリカ合衆国
首都 | ワシントンD.C. |
面積 | 約983万3,517㎢ |
人口 | 約3億3,650万人(2024年6月時点。出典:米統計局推計) |
公用語 | 英語 |
時差 | 首都ワシントンD.C.の場合13時間、シアトルの場合16時間 |
通貨 | アメリカドル(1アメリカドル=147.59円〈2025年9月19日現在〉) |
成人年齢 | 18歳、19歳、21歳(州によって異なる) |
広大な国土を持ち、地域によって気候が異なる“アメリカ合衆国”
アメリカ合衆国の気候は5つの区分に分かれており、首都・ワシントンD.C.やニューヨークがあるアメリカ東部は、年間の寒暖差が激しく、冬は降雪も多いそう。一方、ロサンゼルスのある西海岸南部は、年間平均気温が約20℃と、1年を通して温暖で過ごしやすいのが特徴です。一方、アメリカ西部にあるデスバレーは、ギネス記録にも登録されている最高気温を記録したスポットで、その気温はなんと56.7℃! ゴールドラッシュ時代には金鉱を目指してデスバレーに足を踏み入れた冒険家たちが、酷暑と水不足で次々と命を落としたのだそう。過酷な状況を脱した一行の1人が「さらば死の谷よ(Goodbye, Death Valley)」と叫んだことが名前の由来になったと言われています。
アメリカ合衆国の教育制度って?
アメリカの教育制度は州によって異なります。基本的に、小学校から高校卒業までの期間を「K-12」と呼び、この期間が義務教育となっています。アメリカでは高校も義務教育に含まれているところが日本との大きな違いです。しかし、州によっては中学校が2年または3年というところもあり、教育カリキュラム、長期休み期間なども州によって異なります。そのため、子どもの教育のために引っ越す家庭も少なくないそうです。
JAPAN▶︎▶︎▶︎United States of Americaに留学した先輩にインタビュー
✈️シアトルに留学
兼松愛紗さん (淑徳高校 2年生)
留学期間:2024年8月から1年間
●淑徳高校の留学コースに進学した理由を教えてください。
もともと海外の文化や生活に興味があり、自分の視野をもっと広げたいと思っていました。特に英語を話せるようになりたくて、実際に現地で生活するほうが本場の英語を身につけられるのではないかと考えるようになって。「行動を起こすなら早い方がいい」という家族の勧めもあり、高校在学中に留学できる学校へ進学することにしました。その中でも淑徳高校を選んだポイントは、帰国後のサポートが手厚い点です。1年間留学するので、帰国後は授業に追いつかなければいけません。淑徳高校では、帰国後に夏休みを利用して日本での授業に追いつくための補習を行ってくれます。私の学年の留学コースは現在42人いるのですが、クラスメイトもみんな同じ時期に帰国するので、夏休みに一緒に勉強ができる面でも安心感があるなと思いました。
●アメリカに留学した理由を教えてください。
小学生の頃から、将来は歌や演技など表現する仕事に就きたいという夢があります。アメリカには、音楽や映画、ミュージカルなど自分が憧れていた文化がたくさんあったので、留学するならアメリカに行こうと決めていました。また、アメリカの高校のスクールイベントが他の国と比べると多く感じたので、実際に体験してみたいなと思ったのも理由です。
●留学中に最も印象に残っていることを教えてください。
“ホームカミング”や“プロム”といったダンスパーティーに出席したことと、合唱コンサートに出演したことです。ダンスパーティーでは、友達と一緒に衣装を選んだり、友達のお家で準備をしました。特にプロムに参加した時は、友達とドレスショッピングに行ったのが楽しかったです。プロムは5月に行われるのですが、ドレスは早ければ早いほど素敵なものが多くて。友達と「絶対に可愛いドレスを手に入れよう!」と、手頃な価格で可愛いドレスを売っているお店に3月から行って探していました(笑)。合唱コンサートでは、みんなでお揃いの色の衣装を着て歌いました。アメリカの合唱は綺麗に声を揃えて歌うよりも、一人ひとりのノリを大切にしている印象で、自分の個性を大事にしていました。会場にいる観客との一体感を楽しめるようなアップテンポな曲が多く、とても楽しかったです。
●将来の夢につながるような経験はしましたか?
アメリカで制作された映画は、日本よりも公開が早いので、気になった映画は友達を誘ってたくさん観に行きました。特に印象に残っているのは、実写版『白雪姫』です。主演の女優さんの歌声が世界で一番好きで“これは観に行くしかない!”と思い、友達と観に行きました。また、ホストシスターもミュージカルや舞台に興味がある方で、お姉さんは週に一回プロのボイスレッスンに通っていたんです。私も帰国までの5ヶ月ほどですが、一緒にボイスレッスンを受けさせてもらいました。留学中に習い事はできないと思っていましたが、英語がわかってきたタイミングでホストマザーが声をかけてくれて、一緒にレッスンを受けられるようにしてくれたのがとても嬉しかったです。
●アメリカの文化で驚いたことはありますか?
日本の授業は先生の話を聞き、ノートを取る授業が多いと思うのですが、アメリカでは、先生が生徒に話を振って、自分の意見を言う授業が多いと感じました。あと授業中に驚いたのは、生徒は好きなタイミングでお手洗いに行ったり、先生に質問をしに行っていいというルールです。生徒はパスを持っていて、それを持っていれば授業中に廊下を一人で歩いていても先生に何も聞かれず教室に出入りできることには驚きましたね。日常生活の中で驚いたことは、誘拐が発生すると携帯のアラームが鳴ることです。ある日ホストマザーの携帯のアラームがうるさい日があって、「そのアラームはなに?」とマザーに聞いたら「子どもが誘拐された時に鳴るアラームよ」と教えてくれたことがありました。1日に何度もアラームが鳴っていて、過去にはホストマザーの家の近くで起こったこともあったそうで怖いなと思いましたね。
●留学してよかったことはありますか?
留学する前は「無理かも」が口癖で、間違えることが怖かったんです。しかしアメリカに来て、“自分の殻を破れたな”という出来事がありました。それは「モノになりきろう」というテーマでスピーチをする授業。私は卒業式で被る角帽になりきってスピーチをしました。スピーチの時は、クラスメイトの前で英語を話すことに緊張して、手が震えたのを覚えています。スピーチが終わった後に先生が「あなたの声、ちゃんと届いていたよ」と言ってくれて。その授業をきっかけに、“間違えてもいいからやってみよう”と思うようになりました。
●留学して成長を感じたところを教えてください。
間違えることが怖くなくなったというのは、自分にとって大きな成長だったと思います。私の通っていた学校は、留学生をたくさん受け入れている学校だったので、先生はもちろん、生徒のみんなが留学生に対して優しいんです。留学したばかりの頃、授業中に先生に当てられて答えられなかった時も、私が理解できるまで丁寧に教えてくれたり、最後には答えを教えてくれる子もいたりして(笑)。英語が理解できるようになり、少しずつ友達のヘルプがなくなってくると「私、英語が上達しているんだ」と成長を実感できたので、助けてくれた友達には本当に感謝しています。
●兼松さんが感じたアメリカの魅力を教えてください。
アメリカは多様性を受け入れるところが魅力的だなと感じました。私の学校にもいろいろなバックグラウンドを持った生徒がいましたが、みんなが自分らしくいられる雰囲気がありました。服装や発言も自由で、“自分ってこれでいいんだ”と思える空間がとても居心地よかったです。また、地域の人たちに日本の文化を紹介する機会が何度もあったのですが、地域の人たちもとても温かい人たちばかりで。日本に興味を持って他の人に広めてくれたり、日本語で挨拶をしてくれたりと、人と人との距離の近さを感じる瞬間が多くて、そこが魅力だと思います。
●兼松さんにとって、アメリカで過ごした1年間はどんな時間でしたか?
自分にとって大きな一歩だったということは間違いないですし、自分の中に新しい世界ができた1年間でした。留学したばかりの頃は、不安や怖さがありましたが、それ以上に出会いと経験から得たものが多すぎて、今は留学してよかったなと思います。“留学=海外に行って英語を学ぶこと”だと思っていましたが、実際は家事ができるようになったり、英語以外のこともできるようになりました。何より、1年間じっくりと自分と向き合うことで学べることが多かったです。
※インタビュー対象者は、トビタテ!留学JAPANの派遣留学生です。