第103回のWorker’s fileは、株式会社トラストバンクの伊藤健作さん。ふるさと納税の専門家である“地域創生エバンジェリスト”として、ふるさと納税に関して企業と地域が抱える問題を解決する伊藤さんを紹介します。
東京都江戸川区出身。法政大学 キャリアデザイン学部卒業。2016年7月、大学4年生の時にふるさと納税の返礼品を使ったメニューを楽しめる「ふるさとチョイスCafé」の起ち上げにインターンとして参加。翌8月に株式会社トラストバンクに入社し、カフェ事業に従事。現在は、地域創生エバンジェリストとして企業向けのOEM事業を担当している。
何気なく見ている風景や当たり前だと思っている特産品には、
その地域を切り拓いていくヒントが隠されている
その地域を切り拓いていくヒントが隠されている
💬仕事内容を教えてください。
株式会社トラストバンクは、“自立した持続可能な地域を作る”というビジョンを掲げ、それに基づいた事業展開を行っています。地域外から地域内にお金の流れを作る事業、地域内でお金を循環させる事業などさまざまありますが、メインで行っているのは、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」事業になります。「ふるさとチョイス」は、全国※1788の市区町村のうち95%である1700以上の自治体と契約しており、国内最大級の76万点以上のお礼の品を掲載しているプラットフォームです。その中で私は「ふるさとチョイス」のOEM事業を担当していまして、具体的には、地域をよくしたい、地域に還元したいという想いのある企業と連携して、ふるさと納税を広めていくのが仕事になります。
💬現在の仕事に就くまでの経緯を教えてください。
私の実家がとても食にこだわりのある家で、昔からいろいろな地域のより美味しいものをいただく機会が多かったんです。また、私自身旅行が好きということもあり、地域貢献に魅力を感じていました。そんな時、ふるさと納税を活用した唯一のリアル店舗である「ふるさとチョイスCafé」がオープンすることを知り、当時大学4年生だった私は、既に内定をいただいていた会社もある中、就職活動を中断してカフェでインターンとして働き始めたんです。これが、私のトラストバンクでのキャリアのスタートとなりました。「ふるさとチョイスCafé」は、地域の魅力を五感で楽しむことができるのが特徴で。ふるさと納税のお礼の品を使ったメニューを楽しめたり、週末には実際に農家さんや自治体職員さんがいらっしゃって、マルシェや漆塗りの絵付け体験などのワークショップも行っていました。そこで自治体の方や農家さんと関わるうちに地域の魅力を再認識する一方で、人口減少や後継者不足といった地域課題を直接お聞きすることもあって。自治体職員さんや地域の事業者さん、農家さんが地域の課題に対して熱量高く取り組んでいる姿を見た時に、こういう方たちの役に立ちたいという想いが湧き上がってきたんです。その方たちのために自分ができることを考えた時に、“ふるさと納税の制度を広め、たくさんの方に応援してもらえる環境を作ることだ”と感じ、ふるさと納税事業に積極的に取り組んでいたパイオニアでもある創業者に想いを伝えて、入社することになりました。当時は自治体や農家さんの間でふるさと納税自体の認知度があまりなかったため、制度についての説明を一対一でさせていただく機会がとても多く、3年間で約1万人の方に説明しましたね(笑)。4年半ほどトラストバンク社員としてカフェ事業に従事したのち、現在は企業のOEM事業を中心に行っています。
💬「地域創生エバンジェリスト」としてどういった仕事をされているのでしょうか?
「地域創生エバンジェリスト」は、ふるさと納税という制度について語れる、いわばふるさと納税の専門家です。そもそも「ふるさと納税」とは、応援したい地域を自分で選んで直接寄付できる仕組みになります。地域創生エバンジェリストは、ふるさと納税の仕組みを多くの人に知ってもらうために発信をしたり、企業や自治体から相談をいただいた際には、「ふるさとチョイス」の事例をもとに、ふるさと納税のトレンドや、具体的な地域課題とふるさと納税を活用した解決事例を紹介しています。
💬ふるさと納税の魅力を教えてください。
ふるさと納税は、応援したい自治体を自分で選んで直接寄付できるところが魅力です。“こういう取り組みをしているから応援したい”など、それぞれの応援したい取り組みに対して自分で選択して寄付することができます。また、“この地域のために使いたい”や、“産業振興のために使いたい”といったように、寄付金の使い道を具体的に自分の意思で選べるのはふるさと納税にしかない魅力ではないでしょうか。どの地域にも共通して人口減少や人手不足などの課題があり、後継者がおらず伝統的な文化が継承されずに廃業してしまうという話も聞いています。ふるさと納税は、地域課題に対しての資金面での応援はもちろん、地域への関心を高めたり、関係人口を増やすことができる制度なので、そういう意味で可能性を秘めているのではないかなと思います。
💬地域・自治体と関わる仕事の魅力を教えてください。
ふるさと納税は、お礼の品を通じて文化など地域の魅力を全国の人に知ってもらえる可能性を秘めています。この仕事は、ふるさと納税をきっかけにその地域を魅力的に感じてもらい、そこで支援してもらった寄付金が課題解決や、地域の活性化につながっていく姿を間近で見ることができます。仕事を通じて、自分の仕事が地域の人の役に立っていることを実感できるのは嬉しいですし、魅力だなと思います。
💬仕事をする上で持たれているポリシーを教えてください。
地域の方々の想いをつなぐということは意識しています。私自身、各地方で出会った方や、来社された自治体の方々から、ふるさと納税に取り組み始めた経緯や地域への愛情など、いろいろなストーリーを聞いてきました。その想いを、寄付していただく全国の方々や企業の方々に伝えるのが私の仕事です。“ふるさと納税”という制度自体、寄付を集めるところにフォーカスされがちなのですが、一番大切なのはその地域が抱える課題や魅力を理解して、継続的に応援してもらうことなんです。地方創生エバンジェリストとしても、そういう想いで発信しています。
💬トラストバンクは以前から、全国の高校生と一緒に商品開発を行い、ECサイト「めいぶつチョイス」などで販売していますが、高校生と商品開発をするに至った経緯を教えてください。
高校生と商品開発をするに至った経緯を教えてください。
弊社としましても、未来を担う高校生と一緒に商品開発に取り組むことに深い意義を感じています。高校生たち若い世代の視点や発想は、地域の魅力を再発見したり、私たちでは出せなかったアイデアを出す可能性を秘めていると思っています。高校生が主体的に地域に関わり、課題や魅力を見つけ出す経験を通して、将来的に地域を支える人材へ成長してもらえることを期待しています。
💬高校生にメッセージをお願いします。
皆さんの住む地域にはたくさんの魅力が詰まっています。何気なく見ている風景や、当たり前だと思っている特産品には、その地域に住む方や働く方の想いなど、その地域を切り拓いていくヒントが隠されていると思います。ぜひ、自分が住んでいる地域に目を向けて、さまざまなことに興味を持ってほしいです。気になることや、やってみたいことがあったら、若さを活かして積極的に挑戦してみてください。私も大学時代にインターンという形で入社し取り組んできたことが、今のキャリアにつながっています。高校生の若い力と柔軟な発想が、その地域を元気にする大きな力になるはずです。私たちと一緒に地域を盛り上げる日が来ることを楽しみにしています。


会社入り口にある日本地図
日本全国1700以上の市区町村が載っている日本地図。自治体の職員の方が来社された際に毎回コメントをいただくそう。昨年度は、100以上の自治体の方が来社され、壁中がコメントで埋まっていたそうです。

地域創生エバンジェリスト編 :【ふるさと納税】 ふるさとのうぜい
生まれたふるさとや応援したい自治体を自分で選び直接寄付することで、自分が住んでいる自治体の住民税の減額(控除)や税務署から所得の払い戻し(還付)を受けられる制度。
ふるさと納税ボータルサイト
ふるさとチョイス:https://www.furusato-tax.jp/