Spotlight VOL.13 天理教校学園高等学校(奈良県) 雅楽部

第13回目のSpotlightは天理教校学園高等学校の「雅楽部」です。神社や結婚式場など、日本の伝統的な行事で聴く機会のある雅楽。他の音楽では聴くことのできない独特なテンポが印象的な日本の宮廷音楽、雅楽を通してチームワークを磨き上げる高校生の様子をお届けします。

雅楽って?
日本古来の音楽や舞、平安時代に作られた歌曲を含めた総称を指す「雅楽」。この雅楽は1300年以上も形を変えることなく受け継がれており、現存する合奏音楽としては世界最古とも言われています。主に笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)などの楽器で音楽を奏でたり、唱歌と呼ばれる歌を歌ったり、舞を踊ったりと、やる側としても観る側としてもたくさんの楽しみ方がある音楽です。
舞が入るとき、演奏だけのときなどによって隊列状況が変わる雅楽。この日は少人数で円になり、互いの顔を見ながらの演奏。一斉に楽器を吹き始めるときの息遣いに引き込まれます。
楽器のお手入れも大事な練習の一つ。こちらの笙は、内部についた水滴で調律が狂うのを防ぐために、演奏前・演奏後に楽器を温めるのだそうです。


―雅楽を始めたキッカケを教えてください。
仲野:私は姉が2人ともこの学校だったので、入学することは決めていたのですが、部活はまだ決めていなかったんです。どの部活に入るか迷っていたんですけど、姉が雅楽部に入っていたのもあって、雅楽をやってみたいと思いました。
森原:僕も雅楽を始めたのは部活に入ってからです。部活動紹介で現代風にアレンジされた雅楽を観て興味を持ち、即決で雅楽部に入ることを決めました。

―雅楽の魅力を教えてください。
仲野:雅楽って西洋音楽と違って、テンポがすごくゆっくりで合わせるのが大変なんです。だからその分チームワークは磨かれていくんじゃないかなと感じます。
森原:指揮者がいないので楽器ごとの掛け合いを何度も繰り返して音が合っていくんです。徐々に音が合っていくときはとても気持ちが良いですね。
仲野:私は楽器の経験はあるんですけど、雅楽は譜面なども独特なので、楽器経験者、未経験者関係なくみんなスタートラインは同じというのも雅楽の魅力の一つだと思います。

―部活動を通して学んだことはありますか?
森原:僕は人に指示をするのがあまり得意ではなかったのですが、副部長になってからは率先的に指示を出せるようになりました。
仲野:私は人とコミュニケーションをとることの大切さを学びました。部長という立場になってから、まずは部員みんなのことを知らないと信頼も得られないなと思っています。だからみんなといろいろな話をしたり、逆に私が相談したりすることもあるんですけど、そういうコミュニケーションを取ることで、指示した時にちゃんと聞いてもらえるような信頼が得られるのかなと思っています。

―3年間のなかで思い出に残っていることを教えてください。
仲野:学校で春と秋に大きな演奏会を2回やるんですけど、その演奏会が毎回すごく楽しいです。毎日みんなで一生懸命練習して作り上げていく感じが大好きですね。舞台も毎回自分たちで作るなど、大変なこともたくさんあるのですが、その分やりがいはすごくあります。
森原:僕も学校の演奏会が一番好きですね。男子みんなで大きな太鼓を運んだり、準備から部が一つになれる感覚があります。
仲野:学校での発表では、外部の方もいらっしゃるのですごく緊張するんです。参拝されている方などに向けてビラを配り、集客もしているので、そういうのも含めて思い出に残っていますね。
森原:2日間合わせて延べ1000人の方が観に来てくださったり、僕たちにとってすごく大事な行事になっています。

公演をする際の衣装。真ん中3名の衣装は舞、両端4名は演奏をする際の衣装になります。豪華な舞の衣装は手作りなのだとか!
演奏に用いられる楽器。上から篳篥、龍笛、笙)。これらの3つの楽器は音のベースを作る楽器とされています。
上から篳篥、龍笛、笙の楽譜。カタカナや独特の字が使われているため、今でも担当楽器以外の譜面は読めないとの声も。

同期へ
私は高校に入ってから雅楽を始めて、たくさん悩んだこともありましたが、同期のみんなのおかげで頑張ろうという気持ちになりました。本当にいつもありがとう。これからもよろしくお願いします。
棟方日向子(2年)
部活の先生へ
いつも時間の許す限り私たちに教えて頂きありがとうございます。先生のイメージ通りの演奏ができるように一生懸命練習を頑張ります。これからもよろしくお願いします。
鷲津奏大(2年)