【高知市立高知商業高等学校】野生鳥獣被害から地域課題へ、 視野を広げて取り組むジビエ商品開発・販売促進部

全国の高校生の活動をお伝えする“全国高校生NEWS”。第64回は、ジビエを利用した商品を開発し、高知県の森林保護活動に取り組んでいる高知市立高知商業高等学校のジビエ商品開発・販売促進部です。

【高知市立高知商業高等学校】野生鳥獣被害から地域課題へ、 視野を広げて取り組むジビエ商品開発・販売促進部

◆野生鳥獣被害から地域課題へ、視野を広げて取り組むジビエ部

近年、野生鳥獣による農作物被害が大きな問題になっています。令和4年度の野生鳥獣による全国の被害額は約156億円。そして、全国的に捕獲された野生鳥獣を“処分”するのではなく、“有効な資源として活用”する動きもありますが、高知県では、野生鳥獣の肉の3%しか利活用されておらず、残りの97%は山に埋められたり、処理されたりしている現状です。そんな中、高知市立高知商業高等学校の「ジビエ商品開発・販売促進部(通称:ジビエ部)」では、有害捕獲された野生鳥獣の肉を使用した商品を開発し販売、その売上で自然保護活動に取り組んでいます。

ジビエは、牛肉や豚肉と比較すると脂質が少ないため、体づくりなど健康にもいいですが、“硬くて独特な臭いがする”という考えを持つ方もいると思います。そんなイメージを持たれがちなジビエですが、ジビエ部の部員は体験入部で活動を知ったり、販売活動でジビエ料理を食べて興味を持った人が多いです。経営部長の公家さんは「高校が決まり部活を考えていた時にジビエ部を知り、どんな活動をしているか調べたら家の近くで販売することを知って。その時に初めてジビエを食べたんですけど、美味しくて興味を持ちました」とジビエとの出会いについて話してくれました。

販売活動の売上は、森林保護団体に寄付しています。6年前から寄付を始め、毎年10万ずつ寄付額が上がっており、昨年度末で通算150万円に到達しました。順調そうに見えますが、新型コロナウイルスの影響で販売に制限がかかり、資金集めに苦労したことがあったそうです。その時挑戦したのがクラウドファンディング! ジビエ食肉施設を応援する目的で開始し、返礼品には鹿肉ジャーキーを贈りました。その結果、支援者にジビエをもっと知ってもらうきっかけとなり、また食肉施設の在庫管理支援にもつながる良い経験となりました。最近では、お客様からの「ペット用の商品はないの?」という一言から、ペットフードを開発し、販売を開始。「約1,600個を販売し、売上は90万円。生鮮食品を販売できない暑い時期にも継続的に販売し収益にもつながりました。お客様のニーズにも応えられた商品になったと思います」と運営部長の前田さんは笑顔で答えました。

今後は、オンライン販売や法人化、高知県内の卸市場の活性化などジビエの課題以外に、ジビエを利活用した食育や子ども食堂といった他の地域課題の解決にも取り組んでいくそうです。高校生でありながら地域に貢献する活動を積極的に行い、販売や商品開発で会計やマーケティングといった商業高校の特徴を活かした勉強を実践形式で学べるジビエ部。ジビエを活用し、高校生たちが地域課題の解決に取り組む姿は、明るい高知県の未来を映し出しています。

【高知市立高知商業高等学校】野生鳥獣被害から地域課題へ、 視野を広げて取り組むジビエ商品開発・販売促進部▲ペットフードはお客様からも人気なジビエ部の名物商品!ジャーキー、腱ガム、ふりかけ、足骨の4種類を販売しています。大切なペットのおやつにおひとついかがでしょうか?
【高知市立高知商業高等学校】野生鳥獣被害から地域課題へ、 視野を広げて取り組むジビエ商品開発・販売促進部▲販売活動のほかにプレゼンにも力を入れています。プレゼンは、他校の取り組みを知り、自分たちの商品開発のモチベーションアップにつながっているそうです。
【高知市立高知商業高等学校】野生鳥獣被害から地域課題へ、 視野を広げて取り組むジビエ商品開発・販売促進部▲売上を寄付する以外にも、実際に防護網を張るといった、野生鳥獣の被害を防止する森林保護活動にも取り組んでいます。
高知市立高知商業高等学校
明治31年に開校された、高知市にある市立の商業高校。総合マネジメント科、社会マネジメント科、情報マネジメント科、スポーツマネジメント科の4つのコースがあり、自身の興味・関心に応じたコースが選択できます。積極的に地域イベントに参加し、高知県の人々と、社会に貢献する活動をしています。