【インタビュー】ワークショップクリエイター・箕輪旭「高校生のうちから世の中にチャレンジして、自分の力をどんどん試していってほしい」

さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第51 回は、社会人・高校生向けにITやビジネス、社会貢献などのワークショップを行う、スタディメーター株式会社の代表取締役・箕輪旭さんに迫ります。

【インタビュー】ワークショップクリエイター・箕輪旭「高校生のうちから世の中にチャレンジして、自分の力をどんどん試していってほしい」

 

箕輪 旭(みのわ あさひ)
東京都出身。自身が好きなコンピューターを仕事にするため、早稲田大学理工学部を卒業後、アクセンチュア株式会社に入社し、大手企業のIT活用を支援。その後、学ぶことの楽しさを伝えたいという想いから、IT人材・デジタル人材の育成をするためのワークショップを行うスタディメーター株式会社を設立。これまでに、5万人以上の社会人、30人ほどの高校生に向けてワークショップを開催し、未来への一歩に導くためのサポートを行っている。

 

高校生のうちから世の中にチャレンジして、自分の力をどんどん試していってほしい

 

仕事内容を教えてください。

社会人・高校生向けに、ITやビジネス、SDGsなどの社会貢献について教えるワークショップを開催しています。僕自身のコンセプトとして、あなたを未来への一歩に導くということを持っていて。ただ教える、勉強するというよりも、世の中について学ぶことの楽しさや、新しいことにチャレンジする楽しさなどを伝えて、今までとは違う一歩を踏み出してもらいたいという想いから取り組んでいる仕事です。

 

高校生向けにはどんなワークショップをされているのですか?

今学校教育ってすごく変わっている最中で、「偏差値が全てじゃない」とか、綺麗事を言う人が多いんです。だけどその一方で、結局は偏差値の高い学校に入った方が有名企業に就職できるし、収入も増えるという、理想と現実のギャップがすごく大きい時代だと思います。高校生はそういう大人たちの理想と現実に巻き込まれていて、すごくかわいそうだなと思うし、本人たちもすごく悩んでいると思うんですよね。だから、そういう子たちに自分の強みを発見してもらったり、さらにその強みを活かして自分にどんなことができるんだろうと考えてもらったり、自分に自信を持ってもらうことを目的に、高校生向けのワークショップを実施しています。最近行ったものでは、いじめ問題に取り組む会社と協力して、その会社の新サービスを考えようというワークショップをやりました。そもそもそういったいじめ問題について考えている企業の人たちはみんな大人なんですよね。だけどいじめ問題の当事者って高校生や中学生、小学生だったりするわけじゃないですか。だからそういういじめ問題の当事者になることがある生徒たちに、“どんな風に学校が変われば良いと思うか”をリアルに考えてもらって、そこから新しいサービスを考えていこうという内容で実施したりしました。

 

起業されるまでの経緯を教えてください。

もともとコンピューターがすごく好きで、中学生の時にはお小遣いでパソコンを買ってプログラミングの勉強をしたりしていました。だから、IT系の仕事に就きたいというのは一つの軸としてあって。さらに僕はもともと数学が苦手だったのですが、高校生の時にすごく良い先生に出会ってから数学が得意になり、結果的に大学でも物理学を専攻するという、自分の人生におけるすごく大切な経験があったんです。そこで、学ぶことの楽しさを伝えたいという想いを持ちました。大学卒業後は外資系のコンサル会社に入り、そこでも学ぶ楽しさを伝えたいという想いから、ITの勉強会などを実施していて、それが高じてIT講座の動画を公開したらヒットし、そこから独立を考え、2020年に“ITと教育というテーマで独立をしました。

 

仕事をする中でのやりがいを教えてください。

やっぱり「楽しい」「面白い」と言ってもらえることが一番嬉しいですね。僕のそもそものモチベーションって、“自分が好きなものをみんなにも知ってほしい”ということがとても大きいので、自分が好きなものについて話して、それを見た・聴いた人から「楽しい」「面白い」と言ってもらえることが一番のやりがいです。

 

高校生向けのワークショップを実施する際に工夫していることを教えてください。

“勉強”にしないということですね。高校生向けのワークショップも、大人向けにやっているものを活用したりするので、「これは学習用のプログラムではなくて、本物のビジネスなんだよ」という意識づけをするようにしています。最近のワークショップで言うと『いじめについて考えよう』ではなくて、いじめ問題について既にいろいろなサービスを提供している会社の社長をワークショップに呼んで、『いじめ問題を解決するサービスを提案してください』ということをするんです。そうすると、より現実的なものとして捉えてもらえるので、本気度が違うんですよね。だからそのあたりに楽しさを感じてもらえているのかなと思っています。

 

仕事をする上で持たれているポリシーはありますか?

自分自身が面白いと信じていることをやるようにしています。これまで出会った人の中では、自分の会社のサービスを悪く言ったり、自社で提供しているサービスを使っていなかったりする人もいて。だけど僕は、自分が面白いと思っていることを仕事にするようにしています。「僕が良いと思っているから、あなたに提案するんです」という気持ちはすごく大事にしていますね。

 

企業の代表取締役を務める箕輪さんが、組織のリーダーとして意識していることはありますか?

自分がたくさんいてもできないことをやるということです。今の会社では社員は僕だけなのですが、日常的に関わっているスタッフを入れると全部で6人くらいいて。そこでは自分が6人いてもできないことをやるというのはすごく大事にしています。自分でできることは全部自分でやって、人にお願いする時には、自分にできないことを必ずお願いするようにしていますね。

 

高校時代にしておいた方が良いと思うことはありますか?

勉強などでインプットするだけではなくて、何かアクションを起こしてアウトプットしてほしいなと思います。今の時代って、高校生でもアプリを作って世に出す人がいたり、SNSでいろいろな発信をすることができたり、個人の力でもできることってすごく増えていて。だから、そういう場を活用して、自分から社会に向けて発信する、アウトプットするという経験はしてほしいなと思います。僕が以前、高校生向けのワークショップをやった際に、参加した高校生から「大人の人たちが高校生をパートナーと言ってくれたことが嬉しかった」という言葉をもらって、それがすごく印象的だったんです。なんとなく皆“大人は教える側で、高校生は勉強する側”という意識があると思うんですけど、そうではなくて、大人・子ども関係なく、自分の強みが社会に役立ったという経験をたくさん積んで、それを自分の自信に繋げてほしいなと思います。

 

高校生にメッセージをお願いします。

高校生ってもう大人だと思いますし、一人ひとり自分の強みというものを持っていると思うんです。まずはその自分の強みを信じてください。そしてそれを信じた上で、インプットしたものをどんどん社会にアウトプットしていってください。高校生のうちから世の中にチャレンジして、自分の力をどんどん試していってほしいです。そういう人が増えていくことで、持続可能な社会に繋がっていくのではないかと思うので、一緒に頑張りましょう!

 

 

お仕事言葉辞典 ワークショップクリエイター 編

【やってみよう】やってみよう

箕輪さんが大切にしていることの一つ「やってみよう」。箕輪さんいわく、「人は人生において新たな一歩を踏み出す勇気が出ないことが多くあるが、“とりあえずやってみる”ことで、楽しいことがたくさんある」。この言葉を口癖にすることで、さまざまな経験を積み人生を豊かにすることができる。

 

お仕事道具見せてください!

【インタビュー】ワークショップクリエイター・箕輪旭「高校生のうちから世の中にチャレンジして、自分の力をどんどん試していってほしい」

新しい知識を可視化するノート
「ITを教えている割には、メモなどは紙派」という箕輪さん。アイディアをメモする時や、勉強して得た知識をグラフィックレコーディングでまとめる際には、ノートを使用するそうです。

 

INFORMATION

箕輪さんが実施する高校生向けワークショップ
【インタビュー】ワークショップクリエイター・箕輪旭「高校生のうちから世の中にチャレンジして、自分の力をどんどん試していってほしい」

公式HP
https://mirai-bu.com