【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.16 助成金とその財源について

vol.16 助成金とその財源について

今を生きる人すべてにとって身近な存在でありながら、あまり知らない“オカネのハナシ”。高校生が分かりやすい視点から、税理士・水村先生が“オカネ”について教えます!

助成金とその財源

最近「18歳以下に10万円配ります!」というニュースが駆け巡りました。これは10月に行われた衆議院総選挙の公明党の公約で「18歳以下の子どもには一律10万円相当を配ります」というものに基づいています。要するに、「公明党の議員が選挙で当選し、与党の立場を守ったら18歳以下に10万円配ります!」という約束を早速実現しているというワケです。公約には“18歳以下の子ども”という定義があったのですが、それだと“お金に困っていない富裕層の家庭にも配ることになる”という議論に発展した結果、原稿を執筆している11月現在は、家庭内で最も所得の高い人の年収が960万円以下の家庭に助成金を配るという結論に至っています。

借金大国・日本
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新型コロナウイルスが猛威を振るってから、さまざまな給付金・補助金・助成金が実施されました。これらの給付金等は、国民という個人単位のものもあれば会社単位のものまでさまざまですが、配る側にとっては財源を確保しなければなりません。配る側の財布に、ちゃんとお金が入っているか? ということですね。皆さんご存じの通り日本は借金大国です。日本という国だけで実に1,000兆円以上の借金があると言われています。このコラムを読んでいる方はご理解いただけると思いますが、

収入 - 支出 = プラスの金額

とならなければお金は増えませんし、借金を返すこともできません。すごくシンプルな話です。最近のコラムで良い借金悪い借金のお話をしましたが、まさに日本という国単位でこの問題に直面していると言えます。選挙とは、こういった問題に自分の意見を示すという重要な行為ですから、みなさんが選挙権を有した時はぜひ選挙に参加してほしいと思います。

公平性の難しさ
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一方で、助成金を配る対象についても議論があります。“18歳以下である”とか、“家庭内で最も所得の高い人の年収が960万円以下”など限定して交付する場合には、運悪くギリギリのところで対象から外れてしまったり、場合によっては二重取りができてしまうケースなども出てきてしまい、原稿を執筆している11月現在の助成金を配る条件では、下記のようなケースが発生します。

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基準を設けることで、こういった不公平感の問題が勃発してしまうのはやむを得ません。ビジネスを対象とした助成金では、条件に合致しないケースに対し、無理やり事実を捻じ曲げてお金を受け取ろうとする事件も多く発生しました。それだけ公平性を保つというのは難しいことです。
ニュースを見ていると、今回のケースのように過去のコラムに書いた税金の話や借金の話など、リンクする話題があります。もしみなさんの気になるニュースがあれば、コラムの内容を振り返って考えてみるのも良いかもしれません!




気になるけどなかなか聞けない オカネのハナシ