【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.17 どうやったら店は儲けを出せる?

【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.17 どうやったら店は儲けを出せる?

今を生きる人すべてにとって身近な存在でありながら、あまり知らない“オカネのハナシ”。高校生が分かりやすい視点から、税理士・水村先生が“オカネ”について教えます!

世間を賑わしている“牛宮城”。どこまでがフィクションでどこまでがノンフィクションなのかわかりませんが、YouTubeでは「ヤバイ!」、「経営的には大丈夫!」などといった意見が飛び交っています。今回は飲食店の経営について、一般的な観点からお話ししてみたいと思います。

商売の原理原則

商売を紐解くと多くの場面でさまざまな収支がありますが、今回はあくまでみなさんがイメージしやすいよう、大枠として説明します。まず、このコラムでも何度かお話ししたかもしれませんが、商売の原則は

収入-支出=利益

という算式の元、基本的には利益が出ていなければその商売を続けることはできません。
元手が100万円だったとしましょう。毎月の収入が50万円に対し、支出が60万円だった場合、毎月の利益はマイナス10万円(赤字)となります。この場合、毎月10万円ずつ元手のお金が減っていきますから、10ヶ月後には元手のお金が無くなります。そうなると商売は続けられないですね。また、元手のお金が1000万円あった場合には、100ヶ月間は商売が続けられるという計算になります。ここでお気づきの方もいるかもしれませんが、いくら毎月赤字を出していたとしても、元手のお金が多ければ簡単には潰れません。

要素を分解してみる

商売の原則は、収入-支出=利益ですが、この収入と支出をそれぞれ分解することができます。

収入・・・総客数(お客さんの数)×客単価
支出・・・変動費(来店人数・営業日数に比例して増える支出)+固定費(営業日数等に関わらず、必ず必要な金額)

例を挙げて説明しましょう。席数が20席あるお店を家賃200万円で借りるところから商売を始めます。1ヶ月の営業日数が30日で、1日50人のお客様が一人当たり1万円を使用する場合、1500人×1万円=1500万円(1ヶ月あたりの売上高) というように収入を試算することができます。
それから、提供する料理の原価がお客様への提供額の40%だとします。
そうすると変動費は(1ヶ月あたりの売り上げ高)1500万円×(料理の原価)40%=600万円、固定費は家賃の200万円。
支出(変動費+固定費)は600万円+200万円=800万円となります。

ここで整理すると、
1500万円 ― 800万円 = 700万円
となり、この通りに進めば毎月700万円ずつ利益が出るため、この商売は続けられるということになります。
【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.17 どうやったら店は儲けを出せる?

最初にお話した通り、この例えでは省略してしまっている要素が多いので、こんなに商売が楽なわけではありません。
収入の面でいえば、この場所で客単価はどれくらい獲得できるのか?お客さんは毎日いっぱいになるのか? など、近隣の競合店の状況やそのお店の特別な強みを参考に見定める必要があります。また支出の面でいえば、来店人数に合わせた材料費や人件費、電気代・水道代などを考えなければなりません。経営も楽ではありません。
私も会社を経営していて、このような分析・判断は日々行っています。想定外の出来事は日常茶飯事で、「どうしてこうなった?」ということに対しては頭を悩ませます。ただし、うまくいったときの喜びはかなり大きいです。このコラムでお金を勉強してくださっているみなさんは「ヤバイ!」という感想だけでなく、自分ならどう考える? という視点で考えていただけると嬉しいです。





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