【インタビュー】Worker’s file パフォーマンスアーティスト サカクラカツミ「自分が好きなものなら一生懸命やってほしいです」

さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第28 回目は、パフォーマンスを通じて日本の文化を伝えるサカクラさん。ラグビーW杯2019日本大会の開会式など世界的なイベントでのパフォーマンスも務めるサカクラさんに迫ります。

Worker’s file パフォーマンスアーティスト サカクラカツミ「自分が好きなものなら一生懸命やってほしいです」

サカクラカツミ
1963 年生まれ。名古屋市出身。日本の伝統文化が持つ特異な「動き、リズム、精神性」を総合芸術として表現するアーティスト。世界で初めて映像とパフォーマンスをシンクロさせた「プロジェクションライブ」を発案し、オリジネーターとして海外でも高い評価を得ている。現在世界41ヵ国から招聘されパフォーマンスを行い21ヵ国のTV番組に出演。ラグビーW杯2019 日本大会の開会式やクアラルンプールにて行われたIOC国際オリンピック委員会総会の開会式など世界規模のイベントにてパフォーマンスを務める。また「What is real Japanese COOL?」と題し講演会を国内外(東京大学、モスクワ大学、ロンドン SOAS 大学、青山学院大学、名古屋学院大学、他)にて行い、TEDxTokyoにも登壇、日本の素晴らしさを世界に伝える活動を行っている。

 

エンターテインメントは、落ち込んでいる人の活力を復活させることができる


ー仕事内容を教えてください。

イベントでのパフォーマンスや、舞台でオリジナル作品を披露しています。小さい頃から空手をやっていたため、日本の武道での身体の動かし方や、技を繰り出す時のリズムの取り方、武道の教えなどを入れ込んだパフォーマンスを行っています。パフォーマンスをするのは99%が海外です。残りの1%も、日本国内にある海外企業のイベント等なので、ほぼ海外向けのパフォーマンスを行っています。


ー現在のパフォーマンスはどのように完成したのですか?

もともと私はやりたいことがなく、大学でも周りが就職活動をしている中、当時熱中していたボクシングだけをずっとやっていました。卒業後は服飾関係の仕事に就いたんですけど、やりたい仕事ではないと思い1日で辞めてしまって。以降もいろいろな仕事をしたのですが、やりたいこととのギャップを感じてどれも続きませんでした。そんな生活をしている中、26 歳の時に通っていたスポーツクラブにあるスタジオで、ヒップホップダンスをやっているのを見て、面白そうだなと思い始めたら楽しくて。インストラクターの方に「生徒としてやるのではなく、教えてみたら」と声を掛けられて教えることを始めたのですが、当時は誰も本場のヒップホップを知らないので適当なダンスでした。そんなある日、プロの女性黒人ダンサーがハリウッドからワークショップをするために日本に来て、そのドライバーを任されたんです。当時私は肌を焼いて、ダボダボの服を着て黒人のマネをしていて。それを見たダンサーの方が、帰国する直前に「あなたは間違っている」と言ってきたんです。さらに「日本にはかっこいい文化がたくさんあるのに、なぜ他国の文化を真似しているの?」という話をされました。当時の私は日本はダサいと思っていたので、その言葉が衝撃的で。それがキッカケで私の人生が変わりましたね。そこからはロサンゼルスに行って、ダンスを基礎から学びました。その中で、自分の身体に合うような動きと、自分の身体に染み付いた空手の動きをミックスしたものを作り上げて、今のパフォーマンスの基礎ができた感じです。


ー仕事をする中でやりがいを感じる瞬間を教えてください。

現在は新型コロナウイルスによって人々の生活が制限されていますが、このような状況になった時、真っ先に削られるのがエンターテインメントなんです。理解はしていたのですが、目の当たりにすると悲しくて。そんな中、ドイツ政府が「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要だ」ということから国家予算で大規模な支援の発表をしたんです。私はそのニュースを見て、エンターテインメントは、落ち込んでいる人の活力を復活させることができるんだと強く思いました。同時に、このエンターテインメントという仕事に対してのやりがいを改めて感じることができましたね。


ー高校生にメッセージをお願いします。

私は30 歳になってからダンスパフォーマーになろうと決めたのですが、それまではいろいろな仕事を転々としていて。だけど、もしそこで本当にやりたいことを探るのを辞めていたら、人生こんなに楽しくなっていないと思うんです。さらに、30 歳までにやってきたことが無駄になっているかと言われたら、一つも無駄にはなっていないんですよね。だから、誰かに「それは将来のためにならない」と言われたとしても、自分が好きなものなら一生懸命やってほしいです。そこで培ったものは、どこかで絶対に役立つはずです。



お仕事言葉辞典>>>パフォーマンスアーティスト編

【へそ】へそ
舞台の中央を指す言葉。左右の中央、前後の中央を繋いだ部分、いわゆる舞台の真ん中が、“へそ”と表現される。舞台上では、×印などで位置が示されていることが多く、演者はその印をもとに、へそ部分に立つ。

お仕事道具見せてください!

Worker’s file パフォーマンスアーティスト サカクラカツミ「自分が好きなものなら一生懸命やってほしいです」

パフォーマンスで使用するヌンチャク
舞台内容にあわせて変えるヌンチャク。サカクラさんが葛飾北斎を演じた舞台『The Life of HOKUSAI』では筆の形をしたヌンチャクが使用されました。

サカクラさんが主演を務めた舞台

『The Life of HOKUSAI』ダイジェスト映像公開中!