【インタビュー】Job master VOL.8 ジャズピアニスト/アレンジャー 佐山 こうた

さまざまな職業で活躍する人に迫るJob master。第8回目は、華麗な音色を奏でるジャズピアニスト。アーティストのバックバンドから曲のアレンジまで音楽業界でマルチに活躍する佐山さんに迫ります。

―お仕事の内容を教えてください
 僕の仕事は大きく二つあって、まず一つ目がジャズピアニスト。アーティストさんのバックで演奏することが多いです。本数で言うと1ヶ月で10本~15本くらいのライヴに出演しています。会場は小さいジャズクラブから、赤坂BLITZのような大きな会場までさまざまですね。ジャズピアニストとは言いつつも、最近はゴスペルやビジュアル系ロックバンドの演奏もしています。二つ目はアレンジャーですね。カバー曲をライヴのメンバーや編成に合わせてアレンジする仕事をしています。作曲者さんやプロデューサーさんと相談しながら、原曲の良さは活かしつつもその時の編成や環境に適したサウンドを生み出していきます。

―現在のお仕事を目指し始めたキッカケは?
 幼稚園の年長の時、幼稚園の音楽の先生に憧れてピアノを始めました。僕は親もミュージシャンなんですけど、無理にやらされたわけではなく自分でやりたいなと思ったんです。そこからずっとその先生に習っていたんですけど、高校受験の前くらいに、今まで習い事という気持ちでやってきたピアノとか音楽自体に興味が出てきて。都立の音楽高校を受験してみたいって受験の3ヶ月前くらいに言い出したんです(笑)。当然入れるわけもなく普通の高校に行ったんですけど(笑)。それで高校卒業と同時にアメリカのボストンにあるバークリー音楽院という音楽大学に留学しました。その大学は一個上の先輩にジャズピアニストの上原ひろみさんがいたりとかして、授業終わりにみんなで集まってジャムセッションをしたりして、すごく豊かな環境でしたね。そんなことをしながら3年程経った頃に、ミュージシャンの瀬木貴将さんという方のツアーに誘っていただいたのをキッカケに日本に帰ってきました。そこからバンド活動などを経て今に至ります。
 
―現在のお仕事をしているなかでやりがいを感じる時は?
 ライヴで演奏してお客さんに喜んでもらえたり、歌手の方に自分の演奏で気持ち良く歌ってもらえた時ですね。ピアノは楽器の王様と言われるくらい、本当になんでもできてしまうんです。10本の指でいろいろなサウンドを生み出すことができて、とても扱いきれないくらいなんですけど(笑)。それに加えてアドリブができると、同じ曲を「今日はこんな風に弾いてみよう」といったように自由自在に操れるんです。ピアノより楽しいことを見つけるのは難しいんじゃないかな(笑)。

―現在のお仕事をしているなかで苦労する点は?
 アーティストさんのバック演奏は、アーティストさんごとでバンドメンバーが毎回違うのでそれは大変です。その都度お互いの楽器やパーソナリティのことを理解しないといけない。僕で言うピアノのように、自分が担当する楽器だけをわかっていればいいわけではなくて、ある程度でいいので、他の楽器の知識もあった方がいいんですよね。「もうちょっとこういう感じで弾いてくれない?」っていう指示を出すのが結構難しいんですよ。“こういう感じ”というのは、弾き方だけではなくイメージや感覚の問題なので、その感覚が合っていくのは気持ち良いです。

―全国の高校生に伝えたいことは?
 音楽の仕事に限らず仕事の楽しさっていうのは基本的にはどの仕事でも同じだと思っています。例えばスーパーでの商品の陳列を考えるのも、ピアノで「ここはド・ミ・ソにしようか、ミ・ソ・ドにしようか」っていうのもあまり変わらないと思うんですよね。だけど音楽に比べて、他の仕事は自分の意に反していても従わなければならないことが多いので、そういうことに立ち向かえるだけの知識と努力と能力があれば、なんでも楽しくやっていけると思います。

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<ジャズピアニスト/アレンジャー・佐山こうたを知る3つのコト>

1.アナログ譜面の五線紙
楽譜を書く際の五線紙。「体が動くのでアナログの方が頭は冴え、アイディアが出てきます。」
2.デジタル譜面のパソコン
「やっぱりどこでも簡単に書けるのはデジタル。車の移動の時とかにキーボードで打ち込みます。」
3.ツアーの必需品・アイロン
ツアーには欠かせない道具・コンパクトスチームアイロン。「パリッとした服で本番に臨みます。」