【インタビュー】コピーライター・ 作詞家 佐々木圭一「伝える技術を学べば、コミュニケーションができるようになる」

今号2本目となる“Worker’s file”は、コピーライターで、ミリオンセラーとなったビジネス書『伝え方が9割』の著者・佐々木圭一さん。良好な人間関係を築くために大切な伝え方の技術についてお聞きしました。

【インタビュー】コピーライター・ 作詞家 佐々木圭一「伝える技術を学べば、コミュニケーションができるようになる」

佐々木圭一(ささき けいいち)
上智大学大学院を卒業後、1997年に博報堂に入社。日本人初、米国の広告賞「One Show Design」を受賞するなど、数々の賞を受賞。2013年に伝える技術をまとめた『伝え方が9割』を出版し、ベストセラーとなる。2014年、博報堂から独立しクリエイティブブティック「株式会社ウゴカス」を設立。コピーライターのほか、学校や企業での講演会にも積極的に取り組んでいる。

 

◆伝える技術を学べば、コミュニケーションができるようになる

仕事内容を教えてください。

コピーライターをしており、例えば『ルックプラス バスタブクレンジング』の「バスタブはもう、こすりません」のコピーを手がけました。そのほか本を書いたり、作詞、メディアに出演したりしています。また、社会人から小学生まで幅広い年齢を対象にした講演会も行なっています。いろいろやっているように見えますが、全部言葉に関わる仕事をしていて、“言葉”が一本軸としてあります。

現在の仕事に就くまでの経緯を教えてください。

学生時代に何度も転校をした経験から、人と話すのが得意ではありませんでした。大学は理系の学部だったのですが、就職活動の時期に、自分の将来を考えた時に“もっと人とコミュニケーションができるようになりたい”ということに気づき、広告代理店に行きたいと思うようになりました。念願叶って入社が決まりましたが、入社するまでは大学時代に学んだ経験をふまえてマーケティングやデータを分析する仕事ならありえるかなと思っていましたがコピーライターに配属されて……。なぜかというと入社後に行ったテストで採点官に適性があると言われたからなんです。それまで、高校時代に国語の成績が2で、大学時代は、先輩が書いたレポートの語尾を変えるくらいしか文章を書いていなかった自分がコピーライターになるなんて思ってもいませんでした。コピーライターになったものの、全くコピーが採用されることがない状況が続き辛かったです。そんなある時に、自分の中で豹変した出来事があって。僕は世の中にある良いなと思った言葉をまとめるノートを作っているのですが、そのノートを見ていたらあることに気づいたんです。柔道の田村亮子選手の「最高で金、最低でも金」やブルース・リーの「考えるな、感じろ」には、どちらにも反対の言葉が入っているんですよね!その法則をもとに書き始めたら突然周りから評価されるようになったんです。それから人生が劇的に変わって、コピーがどんどん採用されCMで使われるようになりました。そのやり方をまとめたものが「伝え方が9割」で、その本がベストセラーになったのをきっかけに独立し、株式会社ウゴカスを設立して現在に至ります。

「伝え方が9割」を執筆した経緯を教えてください。

コピーライターは、センスがなければどうしようもないと思っていたんです。しかし、自分の経験から、センスがなくても、技術を学べば誰にでもできるということを伝えたくて「伝え方が9割」を執筆しました。

伝え方の技術について高校生に講演をする時に意識していることはありますか?

小学生でも社会人でも内容は変えずに、同じことを話しています。欧米には、義務教育の中にコミュニケーションの授業があり、小学校から勉強しています。一方で日本には、コミュニケーションの授業がないので、伝えるのが苦手な人が多いと思います。学んだことがないから知らないのであって、講演会では誰が聞いても新鮮で、かつすぐに実践できる内容を話しています。高校生の時にこの技術を身につけていたらもっとモテただろうな、もう少し豊かな人生を送れただろうなと考えることもあります。伝える技術を学べば、コミュニケーションができるようになると思い講演しています。

この技術の特徴は何ですか?

本で紹介している技術はある意味、料理のレシピみたいなものです。読んだことによって他の人より頭一つ飛び抜けて上手に話せる、言葉をうまく書けるような内容になっています。「最高でも金、最低でも金」や「考えるな、感じろ」という言葉は作ろうと思えば作れると思うんです。例えば、字が上手な友達を褒める場合、反対の言葉を前に持ってきて「私の字が小学生に見えるくらい、〇〇さんの字がうまいね」と伝えると、より強く伝わり、相手も嬉しいと思います。これは「ギャップ法」という技術で、誰でもすぐ実践できると思います。また、気になる人をデートに誘う時、甘いものが好きな子なら、思ったまま伝えるよりも、「美味しいモンブランがあるんだけど一緒に食べに行かない?」という風に、好きなものを元に誘うと返事がYESになる可能性も高まったりします。

効果的にこの技術を生かせるのは文面と対面どちらですか?

結論から言うと同じです。この技術は口頭でしか使えないと思われがちですが、そもそも文章から始まっているものなのでLINEやメールでも使いやすい技術になっています。今はLINEがコミュニケーションツールの主流ですが、10年後はまた違うものになっていると思います。“伝え方”の技術は、LINEやメール、口頭といったツールに依存しない方法なので、その時その時で一番使いやすいものを使っていただければ嬉しいです。

“伝え方”の技術を使えるようになった時、コミュニケーションはどうなりますか?

“伝え方”の技術を学ぶことは人と人の関係を良くする、言われた相手は決して嫌な気持ちにならないということです。なので、技術だとわかっていたとしても、人間関係は良くなっていくと思います。高校で何度か講演会をしていますが、講演会の直後に技術を実践して友達に「これさっき言われたやつだ」と指摘されても、それはすごく良いことです。冗談的に学んだことをその場で使うと身につきやすくなるので、「みんな分かった上で使ってみてください」と話しています。

コピーライターに一番必要な力は何だと思いますか?

僕は“相手のことを想像する力”だと思います。YouTubeなどの動画を見ている時に広告をスキップしたくなるように、コピーは広告なので誰も見たくはないんです。コピーライターは思わず「なんだこれ?」と読んでしまうような言葉を生み出すことが求められます。いかに簡単に「なんだ?」と思わせるにはどうすればいいのかを考えた時に、読んでいる人の気持ちを想像して書くこと、考えることを意識しています。

高校生にメッセージをお願いします。

テレビCMに自分が考えた言葉が流れたりするのは、仕事としてやりがいがあり、おもしろいと思います。コピーライターにはいろいろな経験をされた方が多いです。大学の文学部で学べばコピーライターになれるというわけでもなくて、僕は理系でロボットの研究をしていました。そんな経歴のコピーライターは多分今までいなかったと思います。コピーライターには、興味があることをとりあえずやってみる、試してみるという人が多い気がします。ぜひ、興味・関心があることをすぐ試してみて、どんどん実践して経験値を貯めていってください。

お仕事言葉辞典 コピーライター・作詞家編

【ひらく・とじる】ひらく・とじる
漢字表現をひらがなにすることを“ひらく”、ひらがなを漢字にすることを“とじる”という。佐々木さんは、文章にやわらかい雰囲気を出すために、漢字はひらくことが多いそうです。

お仕事道具見せてください

【インタビュー】コピーライター・ 作詞家 佐々木圭一「伝える技術を学べば、コミュニケーションができるようになる」
ペン
青ペンは1.5mmと少々太め。太い方が言葉に力がこもるため太さにもこだわっているそうです。一度消えるペンを使い、熱い飲み物の下に書いた紙を置いていたら文字が消えたことから油性ペンを使用しているそうです。

 

INFORMATION

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https://www.ugokasu.co.jp/school_performance/