【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.24 インフレを起こした3つの要因

【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.24 インフレを起こした3つの要因

思えば新型コロナウイルスが猛威を奮い始めてからちょうど3年。この間、日本のみならず世界の経済は目まぐるしい変化がありました。私が執筆した過去の記事を読み返していると、ちょうど1年前にインフレやデフレのお話をしている回がありましたが、2022年、特にアメリカはコーヒー一杯の値段が前年対比7.6%も上昇するなど強烈なインフレに悩まされてきました。日本でも連日値上げのニュースが止まないため少し慣れてしまった感は否めないですが、最近Twitterで話題となっている電気料金の高騰などまだまだ強烈なインパクトを残す話題が尽きません。

インフレのおさらい
【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.20 上場企業の役員報酬っていくら?
インフレ(インフレーション)とは物の値段が上がっていく現象のことを指しますが、その要因は様々です。

【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.24 インフレを起こした3つの要因

他にもさまざまな要因がありますが、これらが今回のインフレを起こした要因ベスト3だと考えられます。
では上記で挙げた3パターンについて考えていきましょう。

①需要が供給を上回るパターン >>>これはとてもシンプルです。有名アーティストのライブチケットがあまりに人気であるために、転売価格が吊り上がっていく様子を見たことがあると思います。まさにその現象で、欲しい人の数に比べて供給される物の量が少ないことが発生要因です。

②商品の原材料の値段が高騰するパターン >>>ロシアが戦争を始めてから、原油高や穀物の値段が高騰しているというニュースを見たことがあるかと思います。ロシアは世界有数の産油国でたくさん原油が採掘されています。しかし、この戦争によって世界中の国々がロシアの原油の不買規制を敷き、かつ当のロシアも敵国には原油を売らないという政策をとったため、世界の各国はロシア産の原油を使うことができず、相対的に使える原油の量が不足し、①のように需要と供給のバランスが崩れ価格が上昇しています。原油はプラスチック製品の材料や輸送のために多く使われますから世界の物の値段を大きく吊り上げるのも不思議ではありません。また、ウクライナで生産した穀物を出荷できないという事態も生じており、(戦争状態で農作物を育てられなかったり、穀物を運搬する際にロシアから攻撃される可能性がある)ここでも原材料の供給不足によるインフレの一因を構成しています。

③国が国民にお金を配ることによって、世の中のお金の価値が相対的に下がるパターン >>>これはイメージつかないかもしれないため、例えで説明しましょう。今までAさんとBさんは1万円ずつお金を持っていました。その当時ラーメンの値段は1杯1,000円だったとしましょう。これが新型コロナウイルス対策の政策として、国がAさん、Bさんにそれぞれ100万円ずつ配ったとします。これによりAさんもBさんも101万円ずつ持っています。さて、AさんもBさんもラーメンが食べたくなりました。しかしラーメンは1杯分しか残っていません。どうしてもラーメンを食べたい2人は話し合います。A「私は101万円持っているから、ラーメン1杯に10万円出します」、一方でBさん「私も101万円もっているから、ラーメン一杯に50万円出します」。このように世の中のお金の量が増えると、人々が使えるお金の量が増え、相対的に価値が下がるという現象が発生します。

シンプルに考えると……
【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.20 上場企業の役員報酬っていくら?
少々説明が難しくなりましたが、インフレは簡単な理由では発生しません。ただシンプルに考えると、「原油が高くなっているから、当然プラスチック製品が上がるよね?」 「穀物が高くなっているから食べ物の値段が上がるよね?」などと解釈できると思います。では一体、モノの値段が上がることに対して、いかにして対抗すべきかという問いですが、私の見解はこちらもシンプルに“もっと稼ぐしかない”だと思っています。
もちろん日本政府にインフレ対策の政策を行ってもらうことも重要ですが、それぞれ個人が学び、技術をつけ、ほかの人に欲しいと思われる価値を提供することが自らの報酬を増やし、インフレに対抗できる行動だと思っています。
共通テストも終わり、いよいよ受験シーズン真っただ中ですね。みなさん風邪などひかぬよう気を付けてください!




【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】