【インタビュー】プロダクトマーケティングマネージャー・岩﨑央弥「守るべき本質と、健康課題への理解。ブランド価値を高め続けるため探究の日々です」

さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第56 回は、大塚製薬株式会社のロングセラーブランド“カロリーメイト”のプロダクトマーケティングマネージャーとして、商品開発などに携わる岩﨑央弥さんに迫ります。

【インタビュー】プロダクトマーケティングマネージャー・岩﨑央弥「守るべき本質と、健康課題への理解。ブランド価値を高め続けるため探究の日々です」

岩﨑 央弥(いわさき なかや)
神奈川県出身。大学卒業後、大塚製薬株式会社に入社し、佐賀出張所にて販売促進の業務を担当。その後企画業務・営業職を経て、本社に異動。現在は同社の“ニュートラシューティカルズ事業部 製品部 カロリーメイト プロダクトマーケティングマネージャー”として、カロリーメイトブランドの商品開発などに携わっている。

 

守るべき本質と、健康課題への理解。ブランド価値を高め続けるため探究の日々です

 

仕事内容を教えてください。

「カロリーメイト」ブランドの製造から生活者の手に届くまで、製品価値を伝える方法を検討・決定する仕事をしています。

 

現在の仕事に就くまでの経緯を教えてください。

大学卒業後新卒で大塚製薬に入社し、最初の配属地は佐賀出張所で、担当は製品の価値を伝える販売促進でした。そこでは学校や病院、自治体、イベントなどさまざまなところへ伺い、製品の価値を伝える仕事をしていました。その後は企画業務を経て営業職に就きました。小売企業や店舗の方と一緒に「どのように来店するお客様の健康に貢献するか」を考える仕事は楽しかったですね。取引先様にも社内の人にも、とにかく支えられて仕事をしてきました。その後、本社販売戦略を担当する部門を経て、現職になります。

 

商品の開発はどのように行われているのですか?

カロリーメイトは発売から40 年近いロングセラーブランドで、栄養バランスはもちろん、実は味へのこだわりがとても強いブランドなんです。開発に携わった大先輩の考えとして、「どんなに栄養バランスがすぐれていても美味しくなくては続けられない」というものがありました。カロリーメイトがお菓子と異なる点は“できたものに栄養素を添加する”のではなく“栄養組成を決めた上で味づくりを行っていく”こと。その違いが味づくりにとても大きな影響を与えています。それでもまだカロリーメイトが知られていない時代には、お菓子だと思って食べたりすると期待と異なる味で受け入れてもらえませんでした。そこで大塚製薬は、まず頭で理解して食べてもらうことを考えました。『バランス栄養食』というコンセプトを浸透させるために、全国200名のカロリーメイト専門の担当者達が、学校や農家、スポーツ団体や企業などに訪問し説明をしてまわったんです。また売る場所も本屋さんに並べるなど、ユニークなことをしていて、そんな試行錯誤の中で徐々にコンセプトが浸透し、手に取ってくださる方が増えていきました。社会環境は時代と共に変化し、健康課題も変わっていきます。そんな中で変化に適応しながら、ブランドの本質を忘れることなく開発を行っています。

 

仕事をする上で持たれているポリシーはありますか?

私の頭の中のカロリーメイトと消費者の頭の中でのカロリーメイトにはギャップがあります。それぞれの消費者によってカロリーメイトの捉え方は異なります。例えば、カロリーメイトをお酒のおつまみにしている人っていないと思ってしまうんですけど、実際にいるんです。「食感がほどよくて、甘みがハイボールに合う。おつまみは制限なく食べてしまうが、カロリーメイトは4本と決めている。摂取するカロリーや栄養素などが明確だから罪悪感も少ない」と。カロリーメイトがおつまみを目指すというわけではありませんが、会社でパソコン打っていても上記の話は思いつくはずがないんですよね。カロリーメイトのコンセプトである『バランス栄養食』は人にとって必要なものです。しかし、各時代によって求められることが変化したり、新しい摂られ方が生まれてきます。それを捉えて、確実にバランス栄養食の価値を届ける。それが私の使命と考えています。そのためには消費者から教えてもらう以外方法はありません。時にはお店の前、売り場で何時間でも観察し続けますし、製品を持っている方がいたら話しかけて教えてもらいます。とにかく、現場を実際に見たり、利用者の声を聞くことを心がけています。

 

商品を販売する際、他社と差別化するために心がけていることを教えてください。

カロリーメイトは1983年にブロックタイプとリキッドタイプの2種類で発売されました。リキッドタイプは医療現場で実績のある栄養食(ハイネックス-R)の栄養を健康な方の栄養補助として活用する目的で一般向けに応用開発した製品です。当時はインスタント食品を食べる機会が増え、食の欧米化が進んでいた時代だったこともあり、栄養の偏りの問題に対して開発をスタートしました。一方ブロックタイプは、朝食欠食が今後増加していくという兆候に着目したのが開発のスタートでした。いつでもどこでも食べられる朝食を目指し、手軽さを求めて世界中のパンを調べ、その中にあったイギリスのショートブレッドの形がコンパクトかつユニークと、製品の形状のヒントとなりました。もちろん、ハイネックス-Rで培った栄養バランスのノウハウも詰まっています。こういった経緯で開発された製品というのは他にありません。持って生まれた独自性やブランドの本質、そしてバランスよく栄養を摂ることの価値をわかりやすく伝え、浸透させること、それを心がけています。繰り返しになりますが、社会環境は時代と共に変化し、健康課題も変わっていきます。その変化に適応しながら、その価値を伝えていきたいと考えています。

 

仕事をする中でのやりがいを教えてください。

生活者の方から「いつもお世話になっています」とか、「助かっています」「ありがとうございます」などの言葉やお手紙をいただくことがあります。カロリーメイトが役に立っていることを実際に感じられる時は、疲れもどこかへ飛んでいき、もっと頑張ろうという気持ちになります。

 

高校生にメッセージをお願いします。

カロリーメイトブランドは、お客様それぞれの中に自分のカロリーメイトがあるため、強いと思っています。だからこそ、3月に新しいフレーバーとしてバニラ味を出す時は楽しみであり、不安もありました。しかし、高校生を中心にした若い世代から多くの反響をいただき、皆さんがさまざまな食べ方をしてくださっていて、とても嬉しかったです。これからも、バランス栄養食を必要とするすべての方に役立つ製品を届けられるよう向き合っていきますので、カロリーメイトをお願いします。

 

 

お仕事言葉辞典 プロダクトマーケティングマネージャー 編

【流汗悟道】 りゅうかんごどう
“自らが汗を流し実践して感じることの中に本質がある”という意味の四字熟語で、大塚製薬が大切にしている企業文化の一つ。岩﨑さんいわく「デスクの上でパソコンと向き合うことが多いが、そこに本質はあまりない。汗をかいて人と向き合い、自分で経験することで学びが生まれる」とのこと。

 

お仕事道具見せてください!

【インタビュー】プロダクトマーケティングマネージャー・岩﨑央弥「守るべき本質と、健康課題への理解。ブランド価値を高め続けるため探究の日々です」

自身も助けられているカロリーメイト
仕事に集中すると、食事を疎かにしてしまうことも。そんな時、岩﨑さん自身がカロリーメイトに助けられているそう。ブロック・リキッド・ゼリーの3タイプがあるため、状況に合わせて使い分けています。

 

INFORMATION

岩﨑さんが携われているブランド
【インタビュー】プロダクトマーケティングマネージャー・岩﨑央弥「守るべき本質と、健康課題への理解。ブランド価値を高め続けるため探究の日々です」

公式HP:https://www.otsuka.co.jp/cmt/