【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.20 上場企業の役員報酬っていくら?

【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.20 上場企業の役員報酬っていくら?

今を生きる人すべてにとって身近な存在でありながら、あまり知らない“オカネのハナシ”。高校生が分かりやすい視点から、税理士・水村先生が“オカネ”について教えます!

みなさんお久しぶりです。新学期も頑張っていきましょう。今回は“日本の社長の給料”について取り上げます。

日本では6月に多くの会社の株主総会が開かれ、1年間の会社の業績についての発表が行われます。その発表に関連して日本の証券取引市場で株式を公開している会社のうち、年間の給料が1億円以上の役員については、その氏名を公開することになっています。今回はそんな高額な給料を受け取る人を紹介しつつ、人が受け取る報酬について考えていきたいと思います。

上場企業の役員報酬
【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.20 上場企業の役員報酬っていくら?

まずは日本の上場企業の役員報酬はどんなものなのでしょうか?
東京商工リサーチが行った、2022年3月期決算の役員報酬のランキングは下記のようになっています。

【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.20 上場企業の役員報酬っていくら?

1位の慎ジュンホさんはみなさんも使っている“LINE”の生みの親で、年齢はまだ50歳です。過去には57.4億円を受け取ったこともあります。年俸2位の黒土始さんはタクシー会社を38歳で創業し、一代で第一交通グループを築き上げました。今回100歳で経営者を引退するにあたり、退職金として15.9億円を受け取ることになり、合計で19億円の報酬を受け取ることとなりました。続いて第3位は吉田憲一郎さんで、日本の超有名企業ソニーグループの社長です。1959年生まれの62歳で東京大学を卒業後、ソニー一筋で社長まで上り詰めた方です。

意外?あの人の名前が載っていない!
【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】vol.20 上場企業の役員報酬っていくら?

ここまでのランキングを見て、みなさんは少し意外に感じるかもしれません。日本の有名社長と言えば、TOYOTAの豊田社長、ユニクロ(ファーストリテイリング)の柳井社長、ソフトバンクの創業者・孫さんのようなビッグネームが登場しません。年俸ランキングにおいては18位にTOYOTAの豊田社長(6.8億円)が登場するのみです。意外にもこれらのビッグネームは会社からあまりお金を受け取っていないのでしょうか。
いえ、実はそんなことはありません。会社は株を持っている株主に対して、利益に応じた配当を出すことがあります。株式会社のオーナーは株主なので、会社が出た利益を分配するということです。ユニクロの柳井さんやソフトバンクの孫さんは株主兼社長または役員ということで、彼らが受け取る配当の額を調べてみると……。

ユニクロ(ファーストリテイリング) 柳井正氏 105.7億円(2021年度)

ソフトバンク 孫正義氏 395.7億円(2021年度)

なんとこんなにも配当金を受け取っていることになります。先ほどの給料の額とは桁が違いますね。お金を受け取る方法は実にさまざまですが、彼らがここまでの地位に上り詰めるにあたって並外れた努力があったのは言うまでもありません。
みなさんいかがでしょうか。仕事のやりがいはお金だけで測れるものではありませんが、労働や責任の対価として報酬がついてきます。私の希望としてはみなさんがより多くの職業に触れ、素敵な職業を見つけられることを願っています。




【税理士 水村耕史によるオカネのハナシ】