【インタビュー】教育コーディネーター・今村亮「10代のうちはどれだけ多くのバリエーションの失敗ができるかの勝負」

さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。第46回は、株式会社Discovery Studio代表取締役の今村亮さん。高校生のためのキャリア支援プロジェクト『ディスカバ!』を運営する今村さんに迫ります。

【インタビュー】教育コーディネーター・今村亮「10代のうちはどれだけ多くのバリエーションの失敗ができるかの勝負」

 

今村 亮(いまむら りょう)
熊本市出身。東京都立大学卒業。2003年よりNPOカタリバで出張授業カタリ場、中高生の秘密基地b-lab、コラボ・スクールましき夢創塾、全国高校生マイプロジェクトなど多数の事業創出を手がけ、2019年に独立し『ディスカバ!』を立ち上げる。文部科学省熟議協働員、岐阜県教育ビジョン検討委員会委員を歴任。2021年現在、桜美林大学高大連携コーディネーター、慶應義塾大学非常勤講師、NPOカタリバパートナー、中野区区民公益活動推進協議会委員など、教育に関わる領域において幅広く活躍している。

 

10代のうちはどれだけ多くのバリエーションの失敗ができるかの勝負

 

仕事内容を教えてください。

私は現在、『ディスカバ!』という高校生向けのプログラムを運営しています。学校を一歩出ると、世の中は答えの無い問いに満ちていて、そういったものをプログラム化しているような感じですね。具体的には全国の高校へ出張授業を行い、学問の面白さや、答えのない問いに挑戦する楽しさを体験できるようなプログラムを提供しています。さらに春休みや夏休みなどの長期休み、週末、放課後などは、高校生が学校を越えて新たな世界を探究するプログラムを行っています。たとえば、海外向けの雑誌を日米の同世代で協力して制作したり、心理学の実験を行ったり、SDGsの17のゴールを学問の手法で探究するといったプログラムなどがあります。

 

現在の仕事に就くまでの経緯を教えてください。

私自身、勉強ができる高校生ではなかったのですが、卒業後は東京の大学に進学したいという想いがありました。特にこれがしたいという目標もなかったので、“東京に出る=自由だ!”というさっぱりとした気持ちでしたね。そんな中、進学先の大学で出会った先輩たちが「高校時代から将来のことを考えたり、答えのない問題にしっかりと向き合っていればよかった」ということを言って、高校生向けの教育プログラムを立ち上げていたんです。私は特に深い理由もなく、「やってみるか」という軽い気持ちでその事業を手伝っていたのですが、その中で出会う高校生たちが成長していく様子を見て私自身の心も動いたんですよね。そこで、高校生向けの教育プログラムを今後の自分のライフワークにしようと思い、現在のような事業を展開しようと思いました。

 

今村さんが運営事務局として関わられている、『全国高校生ビジネスアイディアコンテスト2021』はどんなコンテストですか?

高校生が企画したビジネスアイデアを、経営のプロに向けてプレゼンテーションするコンテストです。実は『ディスカバ!』も、東京都が主催する『TOKYO STARTUP GATEWAY』というビジネスコンテストでファイナリストに選ばれて、その賞金でスタートアップした事業なんです。今考えてみると、そこで出会った仲間や、その場で誰かにもらった応援の言葉というのは、賞金以上の財産になっています。だから、高校生に対してもそういう機会を作りたいんですよね。勝ち負けよりも、挑戦することの価値、その場で得られる仲間、自分の成長というものを大事にしてほしいので、勝とうが負けようが、参加した全員が学びを持って帰れるようなコンテストとなればいいなと思っています。

 

企業の代表として持たれているポリシーを教えてください。

20代から30代にかけては、もともと所属していた年商数百万円のNPO法人を、年商10億円にするための10年間でした。その角度の成長って自分でもアクセルを踏んで、相手にもアクセルを踏ませて、限界を超えることを求め続けないと成立しないんですよね。だからたくさんの人を傷つけてしまったり、自分自身も大変だったりしたんですけど、今はお互いがお互いを尊重し合いながら仕事をするという普通のことができているので、そこは大事にしています。

 

起業をしたいと思っている高校生が、今からできることはありますか?

私が運営する『ディスカバ!』からも、高校生起業家がたくさん出てきていて、その子たちに共通して言えることは、挑戦と失敗を繰り返しているということです。よく聞く話ではあると思うのですが、10代のうちはどれだけ多くのバリエーションの失敗ができるかの勝負みたいなものなんです。世の中には大したリスクなんてないので、早めに挑戦して早めに失敗をする。失敗に慣れておくということが大事だと思いますね。

 

高校生にメッセージをお願いします。

日々の生活の中で、学校と塾と家の往復というところから一歩でも自分を変えたい、新しく何かに挑戦したい学校と塾と家の往復というところから、一歩でも自分を変えたいと思う高校生がいた時には、そんな高校生が挑戦できる場所、そんな高校生を応援したい人というのが、世の中にすごく増えています。だから、自分の可能性に挑戦してみたいと思った時には、自分が挑戦できる場所を調べて、どんどんチャレンジしていってください。

 

 

お仕事言葉辞典 教育コーディネーター編

【探究】たんきゅう

2019年度入学の高校1年生から導入された新科目『探究』。『総合的な探究の時間』では、生徒それぞれが自ら問いを立て、それに対する答えを探究し発表する。近年ではSDGsなどをテーマに掲げる学校も多く、授業を通して社会貢献活動なども行われる。『探【求】』といった書き間違えに注意!

 

お仕事道具見せてください!
【インタビュー】教育コーディネーター・今村亮「10代のうちはどれだけ多くのバリエーションの失敗ができるかの勝負」

『ディスカバ!』Tシャツ
カラーバリエーションが豊富な『ディスカバ!』のロゴが入ったTシャツ。プログラム開催時など高校生と接する時や、打ち合わせなどクライアントと接する時には必ず着用するそうです。

 

INFORMATION

今村さんが運営する高校生のためのキャリア支援プロジェクト

【インタビュー】教育コーディネーター・今村亮「10代のうちはどれだけ多くのバリエーションの失敗ができるかの勝負」

公式サイト:https://discova.jp