岩手県立大槌高等学校 復興研究会 東日本大震災を風化させない

岩手県立大槌高等学校 復興研究会 東日本大震災を風化させない

全国の高校生のNEWSをお伝えする“全国高校生NEWS”。第19回目は、東日本大震災の経験と向き合い、さまざまな活動を通じて復興に向けた取り組みを行う岩手県立大槌高校の復興研究会を紹介します。

風化させないため今の自分ができること

太平洋に面し、多くの自然に囲まれた岩手県大槌町。2011年3月11日に発生した東日本大震災で、多くの被害が出た町の一つです。そんな大槌町にある大槌高校には、復興に向けた取り組みを行う“復興研究会”があります。

東日本大震災発生当時、震災による津波は大槌高校に続く坂の途中まで迫ってきました。高台にある大槌高校は被害が出ることはなく、直後から体育館は避難所となり、多くの町民が過ごすことになります。職員・生徒は、避難所の運営を行い、保健室は病院、会議室は銀行として活用され、体育館は震災から約5ヶ月後の8月6日まで避難所となっていました。

避難所としてさまざまな経験を積んだ大槌高校は、県外からの支援を受けることも多く、その対応を集約するため、2013年の春に復興研究会を発足。希望生徒が参加する形をとり、毎年全校生徒の5〜7割程度が参加しています。復興研究会の活動は多岐に渡り、定点観測では、毎年5月・9月・12 月の3回、大槌町内全180箇所で景色を撮影し、復興の様子を写真に記録。“残す”ことを目的とした活動を行っています。防災班は昨年、被災体験を綴った絵本を制作し、小中学校に配布。また広報班で制作した広報紙は大槌駅にも掲示され、被災体験や復興研究会の活動を“伝える”ことを行いました。さらに、震災の際に避難所に集まった子供たちを見ていた高校生の想いを継承する“キッズステーション”では、夏休みや冬休みなどを活用して、町内の子どもたちと遊び、時には勉強を教え、子どもたちを“育てる”活動を行うなど、復興研究会を通じて、参加する生徒はそれぞれの目的を見つけ、自身にできることを考え、活動に励んでいます。

2年生の篠﨑さんは、「復興研究会に入ってから、東日本大震災を振り返る機会が多くなり、改めて大震災の教訓から学ぶことができている。10年が経ち記憶の風化という問題もあるが、大槌町の防災意識を高めていきたい」と話してくれました。震災当時は、幼稚園・保育園の年長から小学校低学年の子たちが高校生になった今、復興研究会の活動を通じて記憶を残していくことで、震災を風化させず、活動を通じて得た知識を現代にも生かしていくことができるのです。

岩手県立大槌高等学校 復興研究会 東日本大震災を風化させない
震災当時の大槌高校からの景色。写真右側には海から流れ着いた船も。
岩手県立大槌高等学校 復興研究会 東日本大震災を風化させない
避難所の体育館は次第に整備が整い、パーテーションなども設置されました。
岩手県立大槌高等学校 復興研究会 東日本大震災を風化させない
生徒自身の被災体験を綴った絵本。
岩手県立大槌高等学校 復興研究会 東日本大震災を風化させない
キッズステーションでは勉強を教えることも。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
岩手県立大槌高校
岩手県大槌町にある県立高校。復興研究会をはじめ、大槌町を舞台とした海洋研究を行う“はま研究会”、自分と地域社会を見つめる様々な活動に取り組む、大槌高校独自の科目“三陸みらい探求”、自分の興味関心があるテーマでプロジェクトを実行する“マイプロジェクト”、生徒自らが高校づくりに参画する“大槌高校魅力化プロジェクト”、高校生向けの公営塾“コラボスクール大槌臨学舎”など、学校独自の活動が多く実施されています。




YOUTH TIME JAPAN project(YTJP)は、一般社団法人エコロジー・カフェ、ガクイチと共に、
商品開発に取り組む高校生の活動内容を広く発信していきます。
【三重県立あけぼの学園高等学校】ビューティクリエイト部が自身の経験で生まれた アイデアを商品化!

一般社団法人エコロジー・カフェとは?
絶滅の危機にある野生生物の保護や消滅の危機にある生態系の保全などを通して地域社会に寄与することを目的としています。
ガクイチとは?
学校用品をはじめ、全国45校の高校が開発した商品を販売! 高校とコラボしたカレーの販売など、“学校”を舞台とした通販を展開しています。