VOL.33 岩手県立花巻農業高等学校 鹿踊部

第33回目のSpotlightは岩手県立花巻農業高等学校の「鹿踊部」です。太鼓を打ちながら謡って踊る、東北地方を中心とした郷土芸能・鹿踊。国内でも数少ない部活動でありながら、昨年の全国高等学校総合文化祭・郷土芸能部門で最優秀賞を獲得するなど、実力も認められている鹿踊部を紹介します。
VOL.32 島根県立隠岐水産高等学校 ヨット部VOL.32 島根県立隠岐水産高等学校 ヨット部VOL.32 島根県立隠岐水産高等学校 ヨット部鹿踊って?
岩手県など、東北地方を中心とした伝統芸能。“鹿頭”と呼ばれる鹿を模した被り物を被り、装束を身につけ謡い踊ります。踊り手が演奏を行わない「幕踊系」と、踊り手が演奏を行う「太鼓踊系」に分かれており、花巻農業高校は「太鼓踊系」の「春日流落合鹿踊」に指導を仰いでいます。また、ストーリーのある演目が存在するのも特徴で、さまざまな側面から見る人を楽しませる伝統芸能です。

VOL.32 島根県立隠岐水産高等学校 ヨット部8名で踊られる「鹿踊」では、鹿を模した中腰の姿勢もしばしば。ダイナミックな踊りも多いため、見た目以上に体力が必要となってくるため、トレーニングは欠かせません。
VOL.32 島根県立隠岐水産高等学校 ヨット部“案山子踊”という演目の一コマ。子鹿や雌鹿が得体の知れない存在(案山子)を調べ、雄鹿が案山子を壊すといったストーリーが展開されます。

VOL.32 島根県立隠岐水産高等学校 ヨット部VOL.32 島根県立隠岐水産高等学校 ヨット部
―鹿踊部に入ったキッカケは?

髙橋:父が鹿踊をやっていたので、小さい頃から見るのは好きだったのですが、鹿踊部に入ろうとは考えていませんでした。だけど部活動紹介で鹿踊部を見たら、迫力がすごいのと、衣装がかっこよくて。そこに惹かれて入部を決めました。

佐藤:僕はもともと違う部活に入ろうと思っていたのですが、鹿踊部の先輩から勧誘があったのと、部活動紹介を見て、太鼓を打って謡って踊るというのがかっこよく、自分もやってみたいと思ったので入りました。

―部活に入ってみてどうでしたか?

佐藤:最初に鹿踊の基本となる謡を覚えるんですけど、何を言っているのか全然分からなくて(笑)。踊りや太鼓を覚えるうちに必要性は分かったんですけど、最初はそれを覚えるのが大変でした。

髙橋:最初に人前で踊った時はすごく緊張したんですけど、踊っていくうちにどんどん楽しくなっていきました。

―鹿踊の魅力は?

髙橋:約15kgの装束を身に付けて太鼓を打ちながら謡って踊るんですけど、たくさんのことを同時にやりながら迫力を出すという、かっこよさが魅力だと思います。演目によっては15〜20分くらいその状態が続くので、大変さはあります。

佐藤:僕は鹿踊を実際にやってみて分かったことなんですけど、踊るのはもちろん、見ていても楽しいというところが魅力だと思います。演目ごとにいろいろな表現があるので、一人で太鼓を打ちながら謡って踊るという大変さもあるのに、それプラス表現力が問われるのがとても面白いし、研究するのが楽しいですね。

―部活動で一番印象に残っていることは?

佐藤:いっぱいあるんですけど、どれか一つを挙げるなら、去年の全国大会の結果発表の時です。全員で“全国大会最優秀賞”という目標を決めてそこに向かって頑張って、実際に最優秀賞の名前で“花巻農業高校”と呼ばれた時は全員で叫んで喜びました。その光景は鮮明に覚えています。

―鹿踊部の今後の目標は?

髙橋:まずは、10月に行われる全国高等学校総合文化祭の県大会で最優秀賞を獲ることが一つの目標です。また、12月には京都で行われる公演に出演させていただくのですが、そこでは私たちの演舞で鹿踊を全国に広めてきたいなと思っています。

VOL.32 島根県立隠岐水産高等学校 ヨット部

VOL.32 島根県立隠岐水産高等学校 ヨット部“口唱歌”という、太鼓の打ち方を文字で表したもの。鹿踊の基本となるため、入部後まず“口唱歌”を暗記し、5月には暗唱のテストが行われるそうです。
VOL.32 島根県立隠岐水産高等学校 ヨット部鹿踊の装束。頭には“鹿頭”を被り、背中には全長2m40cmの“ささら”を背負います。この“ささら”は、神の使いであることを表しているそうです。
VOL.32 島根県立隠岐水産高等学校 ヨット部鹿踊で使用される太鼓。全員がこの太鼓を身につけ、謡い、踊ります。装束にこの太鼓を合わせると、およそ15kgの重さになるそうです。

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