日学・黒板アート甲子園®2020 全入賞作品を発表

今回の2020大会は、メイン大会(高校生)で、101点の作品応募、45校の参加、ジュニアの部(中学生)は応募作品27点、16校から参加しました。2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、メイン大会の応募作品数は、対前回大会比で70%弱、参加校数は約51%となりました。登校できない時期もありましたが緊急事態宣言解除後の5・6月、通販で購入できるミニ黒板などで個人参加できるTwitter企画を実施したり、黒板アートに挑む朝霞西高校でワークショップを行うなどさまざまな活動を実施した結果、参加校数こそ減少したものの、応募作品数は例年並みという結果となりました。

他方、緊急事態宣言解除後の5・6月、通販で購入できるミニ黒板などで個人参加できるTwitter企画を実施し参加いただいた生徒さんが応募されたり、校内限定文化祭で初めて黒板アートに挑む朝霞西高校でワークショップをおこない多くの作品を応募いただいたりなど、実りある黒板アート普及の活動ができました。

主催社として、withコロナで大変な状況でも今回応募いただいたことに感謝すると共に、応募を検討するも、
課外活動の時間制限、文化連盟の活動との重複、進学に絡むことなどで参加できなかった学校にも感謝いたします。

withコロナの状況下でも黒板に描き出すアートで自分たちの芸術を発信!

withコロナの中、全101作品から、最優秀賞は好文学園女子高校(大阪府)が初受賞!優秀賞は、大宮光陵高校(埼玉県)、善通寺第一高校(香川県)、会津学鳳高校(福島県)に決定!!

日学・黒板アート甲子園®2020 全入賞作品を発表

作品名:懐かしい未来

★最優秀賞★
好文学園女子高等学校 / 好文学園黒板アートAチーム(11人)
<制作エピソード>
ボッティチェリの「春」という作品をオマージュし、いつもの春の楽しく気持ちも踊るような日常を描きました。コロナ禍の影響で普段当たり前のようにできていたことができなくなってしまったことや、自分たちの失われた日常への気持ちを黒板に込め、楽しげな雰囲気を表現しました。

<評>
ボッティチェリの「春」をオマージュした作品で、高校生の楽しそうな様子がリアルに描かれ、これから新しい生活が始まっていくようなイメージを与えてくれる作品です。今年の春は新型コロナウイルスの影響で、こういう楽しい雰囲気はありませんでしたが、見る人を非常に前向きな気持ちにさせてくれるパワーがある作品だと思います。細かいところまでこだわりを持って描き込まれているのも魅力的で、全審査員とも最優秀賞に異論がありませんでした。

日学・黒板アート甲子園®2020 全入賞作品を発表

作品名:Colored owl

★優秀賞★
埼玉県立大宮光陵高等学校 / とりずき (3人 )
<制作エピソード>
高校生になり初めての黒板アートです。これから色んな事を経験して、無色から様々な色に染まっていきたいという想いを込めました。森の賢者と呼ばれる梟の大きく羽ばたく様子で、私達の大きく成長しようという気持ちを表現しました。

<評>
フクロウの鋭い目つきをはじめとした迫力と、黒板全体をめいっぱい使った表現、そして奥行き感の表現に惹かれました。色数を抑え、落ち着いた色で表現されていますが、黒板自体の黒の部分をうまく引き出して、陰影のつけ方も非常にきれいだなと感じました。翼にちりばめられた光の表現も、チョークを指で伸ばしてぼかしたり、きれいな表現になっているので、仕上がりとしても美しいな、と驚きました。

日学・黒板アート甲子園®2020 全入賞作品を発表

作品名:消し忘れ注意!!

★優秀賞★
香川県立善通寺第一高等学校 / うみんちゅ(5人)
<制作エピソード>
ある日、学校の倉庫に眠っているいくつかの移動式黒板を見つけ「これ..黒板アートで使えるんじゃない?!」と思いついた事から、今回の取り組みは始まりました。 黒板アートの製作にあたり、「学生らしくエネルギッシュな作品にしよう!」とテーマを決め、野性的な印象の強いホオジロザメを描く事にしました。 今回のモチーフとなるサメについて色々調べていくにつれて、サメの強靭な肉体やあまり知られていない脅威の再生力についても知る事が出来、これは益々テーマに合致した題材であると感じました。 教室がある現実の世界と、ホオジロザメが存在する黒板の中の世界との境界を無くす為に、消し忘れられたサメが飛び出してくるというアイディアにする事にしました。 立体感を出す為に、黒板を屏風の様に配置してみたり、天井から吊るしてみたりと試行錯誤を繰り返した上で、最終的に飛び出してくるサメの迫力が出るように、黒板の数を増やし奥行きを出し、照明を使用して前後の黒板の明るさを調整する等の工夫を行いました。 今回の作品は何枚かの黒板を使用した奥行のある作品である事から、一つの視点から見て、絵が繋がるように描く必要がありました。その確認のために、三脚で固定しているカメラと黒板の間を何度も行き来し、配置や構図を確認しながら描いていくのはとても大変でした。 何度かくじけそうにもなりましたが、生物担当の先生から資料を貸して頂いたり、担当の先生から沢山の助言や励ましの言葉を頂けたりしたのが私達にとって大きな励みとなり製作を続ける事が出来ました。 完成したのは夏休みの最終日! 多くの先生が作品を鑑賞しに来てくれました。 校長先生の「すごい!!涼しくなりました!」という感想がとても嬉しかったのを覚えています。 見に来て頂いた先生が、複数の黒板の絵がピタッと合う位置を動きながら探しているのを見て、作品と鑑賞者がコミュニケーションをとっている様子は何だか体験型アートの様だなと感じました。 次の日から授業が始まるので、皆で製作した作品をたった一日で全て消さなくてはならず、黒板消しで消している時にとても悲しい気持ちになりました。 しかし、今回この5人で協力して最後まで投げ出さずに一つの作品を作り上げた経験は大人になってもきっとずっと忘れない価値のあるものになったと思います。

<評>
パパッと見ではわかりにくいかもしれませんが、たくさんの黒板を不規則に並べて、それが1点、ここぞという場所にカメラを据えて撮影することで初めて一つの作品として完成する、非常にアイデアあふれる作品です。着想の斬新さにおいて、今後の黒板アートの展開に新たな方向性を示した価値ある作品です。ぜひ斜めから撮影した制作過程の写真も併せてご覧いただきたい作品です。

日学・黒板アート甲子園®2020 全入賞作品を発表

作品名:掴め!!

★優秀賞★
福島県立会津学鳳高等学校 / 会津学鳳高校美術(6人)
<制作エピソード>
屏風を押しのけ、何かを掴み取ろうとする猫。その手が求めるのは、夢か、希望か、猫じゃらしか…。いろいろ想像して楽しんでください。観てくれた人の元気が出て、目線を上に向けたくなるような作品を目指しました。明るい未来が掴めますように!

<評>
ほかの作品と並べたときに、やはりインパクトがある、強い作品だと思います。特に色彩がとても綺麗で、黒板用の数少ないチョークの色を駆使して屏風の金色を表現しているのは、すごく難しい技術だと思います。金色に見せるために恐らく、手前の猫を少しだけ暗い色で表現しているのも効果的だと思います。また、瞳だったり毛並みだったりと、猫の細部の描写力も素晴らしく、細部まで見応えがあります。そして、「掴め!!」という作品タイトルで、猫の手が求めるのは何か…と、鑑賞者に想像を委ねている点も、絵のイメージが広げられ、魅力ある作品だと思います。

日学・黒板アート甲子園®2020 全入賞作品を発表

作品名:青空の下、キミの隣で。-in Asaka station-

★審査員特別賞★
三澤先生選出 埼玉県立朝霞西高等学校 / にねんいちくみ(11人)
<制作エピソード>
3週間という短い期間でしたが、みんなで協力して計画的に進められました。特に、空の雲と青空のコントラストをはっきり表現したくて、何度も重ね塗りしました。全体的に細かいものが多かったので、大部分が完成しても細かい作業が多くて、特に信号機には苦労しましたが、無事完成することができました。

<評>
たぶん通学で使っている駅を描いたと思いますが、その駅をそのまま素直に描いている表現が、温度とか湿度とか匂いとか、あるいは人々の声とか、見る人に実際にそこにいるかのような錯覚を与えてくれます。構造物の直線中心の描写と、空の有機的な描写とが響き合いが、チョークの色数の少なさをカバーし、日常の空気感をつくり出している優れた作品です。

日学・黒板アート甲子園®2020 全入賞作品を発表

作品名:暁の虎

★審査員特別賞★
熊沢先生選出 千葉県立茂原高等学校 / 茂原高校美術部(12人)
<制作エピソード>
日の出を見つめる虎を描いたものです。色をつけた虎と白い虎は、「表と裏」を表しています。中心にはシルエットの鳥と朝日を描き自然の雄大さを意識しました。みんなで描き完成に向かうと、始めにイメージしていたものではありませんでしたが、それぞれの個性が1つの作品になって1人では描けない面白いものができました。

<評>
デザイナーが考えたような構図で、完成度が非常に高い作品だと思います。色を乗せるだけでなく、うまく色を抜いている表現が面白いですね。真ん中で描かれている自然の雄大さも、みんなで描きながら少しづつ決めていき最終的にこのデザインになったのかな、という過程が感じられるのも良い点です。

日学・黒板アート甲子園®2020 全入賞作品を発表

作品名:刹那

★審査員特別賞★
西村先生選出 好文学園女子高等学校/好文学園黒板アートBチーム(10人)
<制作エピソード>
黒板アートを初めて描く人を中心に制作しました。女の子がライオンのような強い存在に憧れつつも、上手くいかずに周りに流されてしまうという高校生特有の葛藤を表現しています。波や毛のリアルさを追求しました。

<評>
「強い存在にあこがれつつも、うまくいかず周りに流されてしまう」という十代の女子高生の等身大の葛藤が描かれていて、そういった内面のネガティブな面をさらけ出して表現しているというところが非常に面白い作品です。ネガティブな面をさらけ出せるというのはある意味では強さでもありますし、今後これを乗り越えていく皆さんの未来まで感じられ、応援したくなりました。

日学・黒板アート甲子園®2020 全入賞作品を発表

作品名:暮れなずむ頃

★日学特別賞★
聖ヨゼフ学園高等学校 / らりんとせな(2人)
<制作エピソード>
制作は、どんなものが描きたいか、という話し合いから始まりました。お互いの好きなイラストや色を見ながら、どんなところを見ていただきたいのか、黒板でどのように表現するのか一生懸命考えました。意見が食い違っても2人の思いを兼ねる案を探し、完成に向けて努力した時間は尊いものだったと思います。完成して黒板アートの全体を見たとき目頭の熱くなるような思いでした。また、完成後は先生方やクラスメイトにも見ていただき、たくさんの感想をいただきました。
私達2人は普段は美大受験生として1人アトリエで描いています。そんな私達が学校という公の場で、2人、制作中までいろんな人に見ていただきながら黒板に描く、というのは非常に新鮮な経験でした。1人では選ばないようなモチーフを選び、絵についてだけでなく時には関係ない話をして楽しんだり、笑ったり、様子を見にいらした先生とお話したり、アドバイスいただいたり、思うように進む日もあれば全くうまくいかない日もあったりと、思い返せば非常に有意義な時間でした。また、黒板という画材は鉛筆のようにしか使えないかと思いましたが、水に溶いて絵の具のように使えることがわかり、スパッタリングしたり、力強くチョークで描き込んだりと普段とは違う幅広い方法で表現できる事がわかりました。長い休みを使って黒板アート、として取り組まなければ得られなかったものをたくさん手にすることができました。

<評>
チョークを水に溶いて絵の具のようにして、筆で描く技法を多用してまるで油絵のような力強い、かつ幻想的な作品に仕上がっています。広角レンズを通したような水平線のゆがみが、空間の広がりを効果的に表現していて、構図も非常に素晴らしい。黒板アートの新しい可能性が伝わってくる作品です。

日学・黒板アート甲子園®2020 全入賞作品を発表

作品名:appetite

★日学特別賞★
埼玉県立大宮光陵高等学校 / いただきます。(4人)
<制作エピソード>
ただでさえ熱いものを描いているにも関わらず、エアコンが故障していてラーメンが嫌になりそうでした。しかし具材が増えていくにつれ、そんな事も忘れ食欲が増し、完成が楽しみになっていきました。

<評>
麺のシコシコ感やトロっとした半熟卵、脂ギッシュなスープ、わき立つ湯気の様子など、食欲を刺激するシズル感が群を抜いており、各審査員の注目度も非常に高かったです。奇をてらわないオーソドックスな技法だけで、とにかく美味しそうなラーメンを前面に押し出す構図と表現力を評価しました。

日学・黒板アート甲子園®2020 全入賞作品を発表

作品名:テストなんていや!!!

★日学特別賞★
静岡県立富士宮東高等学校 / 深夜の206号室(6人)
<制作エピソード>
私達はテストなんか嫌いです。答案を返却された瞬間破りたいし、食いちぎりたいし、ぐしゃぐしゃにしてやりたいと思っています。そんな感情を黒板にぶつけている女子高校生を描きました。破天荒な3人の豊かな表情に是非注目してください!

<評>
過去にも黒板をぶち破って中から動物や恐竜などが飛び出てくる作品はいくつかありましたが、それが生徒たちであった作品はあまり記憶にありません。コロナ禍で鬱屈する反発や若さゆえの破壊衝動のようなものが、生徒さんたちの中に溜まっているのかもしれません。ただしそれを決して暴力的な形ではなく、高校生ならではのユーモラスな表情を、確かな表現力を駆使して描かれているのが好印象な作品です。

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■主催:日学株式会社
■協賛:厦門日学文教用品有限公司、日本白墨工業株式会社 、大洋株式会社
【大会公式サイト 】 http://kokubanart.nichigaku.co.jp




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