【インタビュー】Worker’s file VOL.12 医師(感染症医)佐藤昭裕

さまざまな職業で活躍する人に迫るWorker’s file。今号2人目となる第12 回目は、感染症の専門家として新型コロナウィルスに関するメディアにも多数出演している感染症医の佐藤さんに迫ります。

Worker’s file VOL.12 医師(感染症医)佐藤昭裕

“医師の医師”という役割は感染症医にとってのアイデンティティ

ー仕事内容を教えてください。

院長を務めているクリニックが昨年の9月にオープンしたばかりで、以前は大学病院で感染制御部感染症科というところにいました。開業したキッカケなんですけど、感染症って他の病気に比べて若い人がかかるんですね。性感染症やHIV、あとは海外旅行から帰ってきて具合が悪いとかってやっぱり若い人が多いのですが、大学病院だと受付時間が短いので働く人にはどうしても不便なんですよ。だから遅くまで働いている層が行きやすいクリニックを作る必要があると思い開業しました。今は総合内科と感染症専門の感染症科という科も設けて日々診療をしています。

ー開業されてから、モチベーションの変化はありますか?

日本で感染症科と打ち出しているクリニックって、僕の知る限り3〜4箇所くらいしかないんですよ。そこもワクチンだけとかHIVの診療だけとかなので、それを全部引っくるめたのはたぶんこのクリニックしかないと思います。だから最初は受け入れられるかなっていう気持ちで始めたんですけど、やってみるとすごく需要があって。そういう意味では専門的なクリニックとしての使命のようなものは日々感じていますね。

ー医師としてやりがいを感じる時を教えてください。

治療って今ガイドラインがたくさんあって結構統一されているので、どの医師に診てもらってもだいたい同じ治療を受けることができるんですけど、診断はそういうわけにはいかなくて、診る医師によって全然違うんです。だから診断がつなかった人の診断をつけることができたり、逆に病気ではないのに心配ってだけで病院に来る人に対して「何も問題はないです」と言って普段の生活に戻してあげられることにやりがいを感じますね。感染症医って数が少なくてほとんど大学病院にしかいないんですけど、大学病院での感染症医って他の科の先生からの相談を受けることがすごく多いんですよ。最初は「この症状は感染症?」というところから始まるんですけど、「この検査異常って何だと思う?」という風に感染症とは関係ないところまで聞いていただけることが多くて。そういう“医師の医師”という役割は感染症医にとってのアイデンティティでもありますね。

ー新型コロナウィルスなどの感染症予防のために日頃からできることはありますか?

とにかく手洗いですね。実は去年の12 月までってすごくインフルエンザが多かったんですけど、新型コロナウィルスが出て皆が手洗いをするようになったおかげで、1月頃からはインフルエンザって流行っていないんですよ。それくらい感染症には手洗いが大切なのでこまめに手洗いすることをおすすめします。

ー将来医師を目指す高校生に伝えたいことはありますか?

勉強が苦手な人は正直めちゃくちゃ苦労すると思います。というのも、医師を目指すなら医学部に入ってからも、医師になってからもたくさん勉強しないといけないんです。だから勉強はずっとしていかないといけないんですけど、その努力にも途中で慣れてくるんですよね。だから自分が高校生の時を振り返ってもそんなに勉強はしていなかったと思うし、断然今の方がしていると思います。勉強をしないといけないことには慣れると思うので、勉強が嫌いだから諦めるということは、僕はもったいないと思いますね。

お仕事言葉辞典>>>医師(感染症医)編

【エッセン】 えっせん

“食べる”を意味するドイツ語。医師の言葉にはドイツ語が使われることが多く、“エッセン”は“食事”という意味。「エッセンに行こう」=「食事に行こう」。患者に対して嫌悪感を抱かせることなく会話することができる。

お仕事道具見せてください!

Worker’s file VOL.12 医師(感染症医)佐藤昭裕
感染予防のアルコール製剤

感染症患者と接する機会が多いため、机には感染予防のためのアルコール製剤が。診断前と診断後には必ず消毒を行うなど、感染予防には人一倍気を遣うそうです

INFORMATION

佐藤さんが院長を務めるクリニック
Worker’s file VOL.12 医師(感染症医)佐藤昭裕
東京都品川区西五反田1-2-8 FUNDES五反田10F

Instagram>>>mikajambo_braids

佐藤昭裕(さとうあきひろ)
東京都出身。高校生の時に医師を志し、2008年に東京医科大学を卒業。その後東京医科大学病院で感染症医を務め、2019年9月に、東京都五反田にKARADA内科クリニックを開業。総合内科と感染症内科の医師を務め、現在は新型コロナウィルスに対する知見をさまざまな情報メディアで発信している。