Touch food VOL.12 長野県産アスパラガス

旬の食材に触れるTouch food。第12回目は「長野県産アスパラガス」を紹介。長野県におけるアスパラガス収穫量は全国2位を誇ります。

アスパラガスの歴史
アスパラガスの原産は地中海沿岸の南ヨーロッパからロシア南部で、紀元前8世紀頃には食用栽培されていたようです。アスパラガスの学名は「Asparagus officinalis」と言いますが、「Asparagus」にはギリシャ語で「非常に分枝する」、「officinalis」にはラテン語で「薬用になる」という意味が含まれています。栄養に富み、古くから薬用として使われていました。日本には、江戸時代後期の天明元年(1781年)にオランダ人より、食用ではなく「観賞用植物」として伝えられたと言われています。明治4年(1871年)、※北海道開拓使により食用の種子が導入され、アスパラガスの栽培が始まり、大正12年(1923年)以降、本格的に栽培されるようなりました。しかし、当初は欧米に向けた輸出缶詰用のホワイトアスパラガスがほとんどでした。昭和40年代以降、グリーンアスパラガスが主流となり、一般家庭にも広く普及、定着していきました。
※北方開拓を目的に、明治2年(1869年)7月8日から明治15年(1882年)2月8日まで設置された日本の官庁。


長野県産アスパラガスの特徴と栽培方法
「新芽」を表すアスパラを食べるのは、竹の新芽である「タケノコ」を食べるのと似ています。長野県産グリーンアスパラガスは、締まった穂先と、鮮やかな緑色が特徴。出荷の最盛期は春ですが、ハウス栽培により1月から9月まで出荷されています。通常、畑に植えてから3年目で収穫ができるようになり、ピークが4~5年目で、10年目くらいまでのものを収穫します。畑の地面の下では半径1m近くに渡り、根が迷路のように張っていますが、アスパラガスの食べる部分(10cm~20㎝)は畑の地面から出た部分で、その成長速度はとても早く、なんと1日です。伸びるのが早く、1日に朝と夕方の2回収穫されています。アスパラガス栽培で一番気を使うのが温度管理。寒い時期には適温(25度)となるようにハウスの中で更にもう1枚のシートを被せます。日中の温度が上下する時には、ハウス内が30度を越してしまうため、ハウスを空けて外気が入るようにして温度を下げます。このように、アスパラガスは温度一つで成長が左右される野菜なのです。

▲食卓で見る機会も多いグリーンアスパラガス
▲ハウス栽培で育てられるアスパラガス

取材協力・写真提供: JA長野県

アスパラガス豆知識

ホワイトアスパラガスとは?
アスパラガスには、私達の食卓にそのままの形でよく並ぶ、緑色の「グリーンアスパラガス」と、缶詰に使われることの多い「ホワイトアスパラガス」があります。この2つのアスパラガス、実は同じ品種! 栽培の方法が異なるため、違う色のアスパラガスができるのです。同じアスパラガスの株でも、新芽に光が当たるようにして育てるものが「グリーンアスパラガス」となります。新芽の茎に葉緑素が出来た結果、緑色のアスパラガスが育ちます。それとは反対に、新芽に光があたらないように土をかぶせて育てると、葉緑素が出来ずに白い色をした「ホワイトアスパラガス」が出来るというわけです。

アスパラガスを漢字で書くと?
竜髭菜
その名の通り、アスパラガスの葉が竜のヒゲに似ていることからつけられたと言われているこの漢字。この「竜髭菜」という漢字は、中国の俗語が基になっていると言われています。明治から昭和にかけて活躍した植物学者・矢部義禎が書いた『南満州植物目録』では、アスパラガスには「龍鬚菜(俗)」という漢字名がつけられています。「(俗)」という注記がついていることから、矢部義禎は当時の満州に広まっていた俗語を採用し、アスパラガスの漢字名を「龍鬚菜」としたと考えられているのだとか。さらに1884年に発行された『訂増英華字典』でも「龍鬚菜」という漢字名が与えられています。他にもアスパラガスの漢字として「石刁柏」というものもあるそうです。

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